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世界の終焉へのいくつものシナリオ

ジョエル レヴィ
中央公論新社
ISBN: 4120037495  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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mucha_de : この中に書かれているフィクションは本当にフィクションとして 捉えていいのだろか。 読み物としてはイマイチですが、 今いる自分の状況・環境を鑑みると、 そりゃおそろしいシナリオばかり・・・ しかも、どれもこれも現況の分析に基づくものだから たまったもんじゃない。 本気で突き詰めていくと、人間は死ななきゃだめかなとも。 地球との共存、脅威への対処を、まずは身近な所から始めねば。 以下、付箋紙が貼ってあった所を抜粋 ・三ヶ月の厳しい新兵訓練を終えると、マルコは辺境地帯へ送り込まれた。 12時間ぶっつづけの歩哨任務で防御服の中は汗だくになっている。 猛攻撃を受けて荒れ果てた大地に目を凝らすと、育っているのは地衣類だけだ。 時折恐ろしいほどに変異した菌類がはびこる一画が目に入るが、そういった所の 瓦礫の下からは、決まって白い骨が突き出てる。とにかく蒸し暑い。 それでもマルコの身体の震えが止まらないのは、きちんと葬られていない大量の死者、 身体がバラバラになったり焼け焦げたりした何十万もの死体が、力尽きたところで そのまま横たわっている事に思いを巡らしていたからだ。 しかし本当にゾッしたのは「壁」の際に掘られたばかりの墓穴だった。 それはマルコが歩哨をしている真下にある。 二度目の兵役で戦闘経験のある者がよくこんな話をしてくれた。 難民の子供達が死んだ両親と一緒に生き埋めにされたのだという。 そして土を掻いてなんとか地面まで這い上がってきた子らが、空腹に耐えかねて食べたものは・・・ 突然マルコは残酷な夢想から我に返った。警戒警報が鳴っていた。 何かがやってくる。 やがてマルコは荒地の彼方からよろよろと歩いてくるみすぼらしい姿の一団を発見した。 〜マルコは規則通りに様々な警告を発した。 しかし一団は重い足取りで歩み続け、やがて「壁」のすく下までやってきた。 そこで一団は歩みを止めると、耳をつんざくような声を上げて泣き叫びだしたのだった。 〜しかし大人たちが小さな包みをかざしている様子から、大体の事は推察できた。 ぼろ布のような包みからは小さな足が突き出している。 基本中の基本として習ったことは、どんな物でも爆弾と思えという事だが、大した役にも立たない。 男の一人が「壁」を登り始めた。電流が通っている外壁もものともせずに。 規則によれば、ここでマルコは発砲しなければならないが、発砲すれば他の者にも当たってしまう。 三ヶ月の新兵訓練ではこんな事態は想定されていなかった。 いったいマルコはどうすればいいのだろうか。(p.60) ・2055年。ハリケーンの季節には、海に沈んだ峡谷の奥深くまで暴風が巨大な高潮を押し込んでくるが、 そんな季節もようやく終わると今度は容赦ない灼熱の夏が始まる。 水銀柱は九日連続で四十度以上まで上昇。やつれきった移民を乗せた貨物船が海に沈んだビルの 間に舳先を突っ込み、河川の本流を探っている。この年の高潮による洪水は、都心部の公園に設けられた 仮説防潮堤を超えて市内に流れ込んだ。よどんだ水には腐りかけた植物が浮き、悪臭を放っている。 〜目に入る景色はまさに彼らが逃げ出してきた国だ。 かつてブナとナラの森だった山並みは低木と松に覆われ、くすんだ耕作地には侵食の深い爪痕が見える。 見通しも立たないだろうにまだ農業に奮闘しているのんき者もいる。 家屋の大部分は地盤沈下で妙な角度に傾いていて、人はもう住んでいない。 それでも唯一、生命反応に満ちあふれた構造物がある。 シロアリの蟻塚だ。 空っぽになった郊外の住宅地に場違いな感じで聳えている。 移民たちは、先に進めばもっと居心地のいい土地があると期待している。 しかしその新天地に上陸するには、なんとか国境警備隊の目をかいくぐり、警備非常線を突破し、 自衛団に気づかれないようにしなければならない。 不安はある。 しかし失うものは何も無く、引き返す理由もない。 視界の先にあるものが、背後に残してきたものより悪いはずがないじゃないか。(p.202) ・四週間後、最初の食糧暴動が起きた。腹を立てた労働者集団が配給センターのまわりに集結し 日照不足による「くる病」や凍傷、低温症にかかった子供のためにサプリメントや余分の衣服を 要求した。しかし、サプリメントも手に入らなければ、衣服も食べ物ももう底をついていた。 次の二ヶ月間で、ウェリントンの非常事態政府は、法も秩序も崩壊した周辺地域との連絡がとれなくなった。 「衝突」から四ヶ月目になると、ウェリントンにあるメインシェルターは武装要塞と化していた。 飢えた人々が暴徒と化し、死に物狂いで仕掛ける自爆攻撃を撃退するためだ。 ニュージーランド政府が他国と連絡がとれなくなってから大分たった。 救援要請にも応答はない。残った配給用の燃料と食糧が、パスファインダーの精鋭クルーに渡された。 この飛行可能な最後の航空機は、まさに後が無く、あてもない救援要請へ向けて準備を整えていた。 首相は労力の無駄遣いをせず、離陸を見送りに行くことはなかった。首相はメインシェルターの底にある 丸天井の部屋で資料をゆっくりと集めながら整理した。 この事態が避けられない事がはっきりした数ヶ月前に準備しておいたものだ。 タイムカプセルが仕上がると、首相は黙祷し大きな扉を封鎖した。 これで最低限、記録だけは残るだろう(p.261) ・かつて人類が「種の絶滅を引き起こす事象」(ELE:Extinction Level Event)を切り抜けなければ ならないようなことはなかった。ELEとは天変地異とも言える地質学的あるいは天文学的事象の事で きわめて破壊的なために大絶滅を引き起こす。 地球上の生命はこれまで二十五回ほどこうした危機を乗り越えてきた。 そして現在、こうして恐竜や三葉虫に代わって確かに人類が存在しているという事は、生命が まさにぎりぎりのところで踏ん張ってきたことを意味する。長い目で見れば、新たなELEによって 地球が脅かされることはまず間違いない。(p.263) ・しかし、おそらく人類が遭遇した最も恐るべき衝突は、地球とは別の惑星で起きた。 1994年7月、シューメイカー・レビー彗星の破片が木星に激突し、その様子が地球の多くの天文学者に よって、観測された。最大の破片による衝突が残した傷跡は地球より大きい。 この事件で初めて、世論と世界中の政府が宇宙からの脅威の重大性について認識し、 実質的に地球を破壊できる物体が太陽系内に存在することが示された。(p.270) ・歴史や最新の傾向を考えれば、手遅れになる前にこの地球規模の問題の解決方法が 見つかるとは思えない。甘い眼差しで未来に臨む訳にはいかないのだ。(p.324)
他の本棚 mucha_de, 増井

最終更新 : 2007-10-10 18:12:23 +0900
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