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鏡像の敵 (短篇集 ハヤカワ文庫 JA (810))
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著者: |
神林 長平 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
SFマガジン2005年10月号に神林長平ロングインタビューが載っていたので、真っ先に読んだりしたわけだが。インタビューのタイトルを見て「神林をセカイ系でくくるとは失礼な話だ」と思ったものの、本文中では「神林作品はセカイ系の進化形」みたいな言い方をされていて、それならそんなに悪くないかなと思い直した。どうにも昨今のセカイ系小説を面白く感じないのは、それよりずっと先を行っている神林作品を、彼のデビュー当時から読んでいる身としては当然なわけやね(とかいう)。
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で、そんな神林長平の初期短編集なわけで、そもそも一部を除き全部既読のはずなので、知ってる話ばかりだったらどうしよう……と不安になったが、安心したまえ、ぜんぜん覚えてなかった。まぁ、そんなもんだろう。で、「昔の神林」は「セカイ系」じゃないのか? という心配は杞憂におわり、やっぱり一味もふた味も違っていたわけだが。
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最近の作品に比べるとまだ冗長さがあって、殺伐感が少ないなぁ、という些細な不満がある程度。ガジェットや舞台設定にも、最近の作品にも登場するものが多くて、確かな連続性を感じる。紙数の多くを背景説明に費やしている「ここにいるよ」と、ちょっと作品世界に深みが足らない「鏡像の敵」以外は、どれも神林臭くて面白かった。
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関連本棚: |
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バースト・ゾーン―爆裂地区
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著者: |
吉村 萬壱 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
たっぷり人が死んで、しかもグロい描写ばかりなのでとても万人にはオススメできないが、おれはそういうのが割とへっちゃらなので、かなり楽しめた。
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最初、テロリストの愛称(?)として「テロリン」はねぇだろ、と思ったが、これも狙ってのことなのかもしれない。悪意に満ちた世界を戯画化する装置としてうまく働いている。ストーリーも設定も無茶苦茶だけど(もちろんこれも計算ずくだろう)、勢いでぐいぐい読ませる。特に大陸に舞台を移してからは、謎解きと新たな謎が入れ替わり立ち代り提示されて飽きさせない。
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そして、まったく救いのないエンディング。不愉快極まりないけど、読書体験としては楽しいという、なんとも言えない後味が残るのであった。ホントに芥川賞作家なの、この人? |
関連本棚: |
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戦乱の大地〈上〉―知性化の嵐(2) (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
デイヴィッド ブリン |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
長いっす!!(お約束)
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もうね、最初の登場人物紹介と用語集を見ただけで、本を閉じてBookOffに売りに行こうかと思ったよ。前作から引き続きやたらと登場人物が多い上に、ストリーカーまだ登場するので、もうてんやわんやだ。
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それでも、がんばって読み進めれば見事なエンターテイメントだし、さすがはブリン。特に終盤、六種族の反撃が始まってからは胸のすくようなスピード感。でも終わりは、前作と違って完全に「次作へ続く」状態。次が出るまで読まずに取っておいた方がいいかも。 |
関連本棚: |
Gandalf
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ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
ロバート・J. ソウヤー |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
問: 前作『ヒューマン-人類-』から今までの間に我々が得た重要な知見をひとつあげよ
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答: それは「モヒカン族の発見」です
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いやもう、読み始めてすぐこれに気づいてしまったときは、思わず「あっ」とか声を上げてしまったよ。つまり、このシリーズにおけるネアンデルタールたちは、まんまモヒカン族なんである。徹底した合理精神、問題解決には技術を持ってのぞむその姿勢、どこから見てもモヒカン族だ。なるほど、読んでいてネアンデルタール人社会にどうしようもなく惹かれるわけがわかったよ。
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さらに作者はホモ・サピエンスのムラ人っぷりをわざと強調して描いているので、その対比はさらに明確になっている。典型的なムラ人であるジョック・クリーガーの描写はまさにそれ。結果的に、ネアンデルタール人描写にちっとも新鮮味がなくなってしまった上に、話の流れがたいへん読みやすくなってしまい、読書の面白さが減ってしまったのである。翻訳を待っている間に新しい科学的発見があって、設定自体が台無しになってしまうSFは少なくないが、まさかこっち方面から攻められるとは思いもしなかった。これはもう、otsuneさんに責任とってもらわないと!
<p>
もちろん、小説としての面白さは残るわけだが。前作で明かされた「人類存亡の危機」は、まさかという形で利用され、エピローグとあわせて、なかなか楽しく笑えるオチがつく。後半語られるかなりムチャなフェミニズム思想もそうだが、実はこれ、ソウヤーはギャグ小説として書いてたんじゃないかと勘ぐってしまう。モヒカン族はそのムーブメント自体が「ネタ」なわけで、そう考えると相乗効果を楽しめる余地もあるかもしれない。 |
関連本棚: |
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