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パラサイト・シングルの時代 (ちくま新書)
山田 昌弘
筑摩書房
ISBN: 4480058184
紀伊國屋
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コメント
yuco :
本書の最終的な提案は「日本経済が不況を脱するために、パラサイト(=成人後の子が親と同居すること)に税金をかけて、やめさせよう。彼らが一人暮らしをはじめれば家具とか家電を買うから、需要が増え、日本経済が復活する」というものだ。
まず、私は「不況脱出のために個人のライフスタイルを無理やり変えさせよう」という提案そのものに反対だ(「日本国民に○○させれば経済回復」というなら、○○のところにどんな事柄も持ってこられる)。また、著者が想定するのとは逆に、むしろ子が親の面倒を見ている(親が病気とか、自営業の親を手伝うとか)のが実態である場合は、税金の対象から除外する、としているが、抜け道がいくらでもできそうだ。収入・持っている土地・物の売買代金などではなく、一定のライフスタイルそのものに課税して変えさせることは、政策的にも困難だと思う。
全体的に、まず著者の「パラサイトシングル=悪」という思い込みありきの本だ。時々、著者の考えに反してはいない統計が出てくるが、パラサイトシングルが「良い影響を与えてはいない」としても、ペナルティを与えるべき「悪」だという論証にはなっていないと思う。
これが社会学としてまかり通ってしまうなら、『
反社会学講座
』の人気が出るのもよくわかる。本書では「パラサイト・シングルが増えると、日本の貧富の差が広がる」としている。逆に『
反社会学講座
』では、「大家は富裕層が多いから、一人暮らしをする人が増えると、大家はますます富み、一人暮らしをせねばならない人間はますます貧しくなる」としている。このように、ちょっと別の統計をもってくるだけで、結果が逆になってしまう。
そもそも、「不況のせいで若者が職に就けないから、彼らの収入が少なく、親と同居せざるを得ない」とあるときは言いながら、「親と同居しているから、ちょっといやなことがあると仕事をすぐ辞めてしまってだらしない」とも言う。著者の考えは一体どちらなのだろうか。
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最終
更新
: 2005-07-05 17:17:32 +0900
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