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戦争プロパガンダ 10の法則
アンヌ・モレリ
Anne Morelli
草思社
ISBN: 4794211295
紀伊國屋
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べ_deleted000 :
ベルギーはブリュッセル自由大学の歴史批評学教授,アンヌ・モレリの書いた「いかにしてわれわれは心配するのをやめ戦争を愛するようにしむけられるか」というハウツー本。第一次世界大戦後の1928年に,イギリスの政治家,アーサー・ポンソンビーが著わした「戦時の嘘」を元に,戦時下におけるプロパガンダのメカニズムについてまとめたものである。原著の出版は昨年,米国でいわゆる「同時多発テロ」が発生する前のことだが,その内容はまるであの事件のあとの経緯を見て書いたと言ってもおかしくないくらいだ。
モレリによれば戦争プロパガンダは必ず,「われわれは戦争をしたくはない」という言葉で始まるのだそうだ。われわれは争いを好まない,なによりも平和を愛している,「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」のだと続く。なぜかというと「敵の指導者は悪魔のような人間だ」からであり,彼を滅ぼすのは神の意志,「われわれは領土や覇権のためではなく,偉大な使命のために戦う」のである。
そうして戦争が始まると,時として非戦闘員の死者も出る。が,そういうことで厭戦気分が広がるのは阻止しなければならない。「われわれも誤って犠牲を出すことがある」と言い訳をし,「だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」と敵の邪さを強調する。こっちは正々堂々戦っているのに,「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」のだ。
にも関わらず,「われわれの受けた被害は小さく,敵に与えた被害は甚大」であるのは,正義がわれわれの側にあるからだ。その証拠に「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」ではないか,そうとも,「われわれの大義は神聖なもの」なのだから,国民はすべからくこの戦争に協力すべきであり,「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」と,こういうわけだ。
「どんなウソも繰り返すうちに本当になる」というのは確かナチスの宣伝大臣ゲッペルスの言葉だった。このところテレビや新聞でさんざん繰り返されるので,サダム・フセインが核兵器を作っていてしかもそれができるやいなやアメリカに向けて発射するつもりであるように感じているヒトも多かろうが,いくら何でもそんなノータリンをイラク国民が大統領にしておくわけはないのである。もっと言えば,フセインだってちゃんと選挙を戦って大統領になっているんであり,その選挙もブッシュがゴアに勝ったそれに比べりゃよっぽと公明正大に見えた。そーゆーことを忘れてはいけないと思うのだ。
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最終
更新
: 2004-11-23 23:17:05 +0900
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