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からくり民主主義

高橋 秀実
草思社
ISBN: 4794211368  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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評  価
コメント
増井 : オウムの話も諌早湾の話も、詳しく調べるうちに何が問題なのか/ どうすれば問題が解決するのか/ などがさっぱりわからなくなってしまうところが面白い。 小さな親切運動のトンデモぶり (e.g. 席を譲るためには最初に自分が座るのがコツ)には笑った。
柏野氏もおすすめらしい
> ちなみにこの「からくり民主主義」は、自分一人でモノを考えることを
> 心がけている人間の蔵書によくある書籍で、痛快な好著である。
> この本を面白いと思う人間となら、各論で違った意見を持っていたと
> しても、すぐに友達になれると僕は思っている。
べ_deleted000 :  一読して,ようようこういうことを専門にルポするヒトが出て来たか,と思った。以前,シグマ計画のてん末について「SPA!」の取材を受けた(なんでオレが?とはオレも思ったけどね)時に同じような話をしたのだが,自分の専門分野のことが新聞や雑誌に取り上げられた時に感じる隔靴掻痒感や非現実感みたいなものって,きっとどの業界のヒト,どの事件の当事者にも共通しているコトなのだと思うのだ。
 オレたちは「シグマ計画」について「こいつらあほか」と思ってたし,防衛庁のシステムの開発チームにオウムの子がまぎれこんでいた事件の時には「なんで騒ぐねん,いて普通やんか」と話し合ってた。同じように「報道される米軍基地問題」と地元のヒトの見ている現実は違うものだし,若狭湾原発銀座に住む「事故報道に不安を隠せない」はずのヒトビトの本音は「たまに事故が起って反対派が騒がないと補助金が減る」だったりするんである。
 まぁありがちな表現を使えば「ニッポンの建て前と本音」つうことなんだが,今まで「そういう構造」について書くヒトというのはあんまりいなかった。「ゲンパツは危険ですコレデイーのか?」「諫早湾でムツゴロウが死んでいますコレデイーのか?」「統一教会のマインドコントロールは親から子を奪いますコレデイーのか?」……てなぐあいに,このテの問題に対するアプローチというのはたいてい「個別の問題に対する真正面からの告発」であり,「これがゲンジツです,これでイーのか?」と問うものだったのだ。
 この本の著者・高橋さん(オレと同年なのだ)は,上にあげたような現場に「えらく遅れて」取材に行く。新聞やテレビや週刊誌の取材が帰ってさらに1年も経ったあとで取材に行くのだ(本人はいつも「出遅れる」と書いている)。そして当事者のみなさんと「世間話」をする。するとそこにはもともとそこにあった問題ではなく,それが「報道」というフィルタをどう通って行き,問題自身をどう変質させていったか,が見えてくる。で,その構造が同じなんですね,みんな。そして,そのフィルタの外側,つまり報道を通した結果としてオレタチが見るものは「からくり民主主義」なんである。どっとはらい……というべきか(笑)。
他の本棚 benisuzu, morimon, 増井, 知多武豊, stonechild-2, 偽物, suchi

最終更新 : 2018-02-17 15:01:47 +0900
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