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ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)
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グレッグ・イーガン
早川書房
ISBN: 4150115311
紀伊國屋,
Amazon,
WebCat
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評 価 |
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コメント |
MK :
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2006-01-xx購入: 2006-03-04読了
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Tambourine :
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読むのに時間かかった〜。いやー、でもイーガンはホントすごい。ハードSFの名にふさわしいやらかしっぷりが爽快です。
主人公は、肉体を捨ててコンピュータ上のソフトウェアとして生きている人々の一人です。ここまでだったら、取り立てて珍しくも難しくもないSFではありがちな設定なんですが、主人公は、この中で、意図的に他の人と遺伝的なつながりを持たずに発生段階をおくる、「孤児」として生まれます。
で、この小説は、そういう前置きを一切抜きで、「孤児誕生」の描写から始まります。ソフトウェアを遺伝子的に扱って、それが意識を持ち、自我を持つという過程を、なんの説明もなく描写するんです。それを読んで、「あー、ようするに人間がソフトウェアに置きかえられたあとの時代の話なのね」とわかるだけのSFの教養が必須。全編、そんな感じです。うひ〜。面白いけど、物理学科卒以外の奴にはよう薦めまへん。参考文献に、へーぜんとPhysics Letter Aとか出てくるもんな(笑)
ま、頭くらくらしたいひとはぜひ
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sho :
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読んでる最中、ずーっと「試されてる」という感じが抜けず。何を試されてるかというと、理系度というか、「おまえ、本当に物理専攻だったんか」と問われているような。すみません、数学は落ちこぼれでした(大汗)。
解説で本書で一番難解なのは出だしの部分と書かれているが、大嘘である。日ごろからコンピュータに接していれば、理屈はわからなくてもイメージするのはチョロいっしょ? この、ソフトウェアが自我を確立するまでの過程の事細かな描写で、まずグイっと引き込まれる(か、人によっては投げ出すだろう)。が、そのあとに延々と続く、5次元とか6次元とか12次元とか無限次元とかの幾何学を文字だけで語るにおいては、もう、どうにもついていけん。マニアックすぎる。傑作中篇だった「ワンの絨毯」とか、ワームホールとたんぱく質の類似性とか、トランスミューターの遺物とか、個々のアイデアはメチャメチャ面白いんだけど。
そう、この本、小説としての体をなしてないんじゃないか。SFらしい壮大なストーリーはあるんだけど(終盤の猛烈なスピード感はすごい!)、イーガンはそこにはぜんぜん重きを置いていないような気がする。各章は基本的に独立していて、それぞれが長編一本分のアイデアをぶち込んだイーガンの実験室だ。読者は章が変わるたびにまったく違う舞台装置に放り込まれる。小説を読んでいるというよりは、ゲームをプレイしているという感覚が近い。
というわけで、「SFやっててよかったよ〜」と心底思えるヨロコビはある。そういう意味では五つ星。でも、小説としてどうよという疑問はぬぐいきれないし、当然ながら、こんなに読み手を選ぶ本を、人様にオススメできるわけがない。わかったふりをして絶賛する気には(まだ)なれない。自分の責任においてのみ、手に取るべき本である。
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最終更新 : 2011-08-24 05:59:41 +0900
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