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装丁物語

和田 誠
白水社
ISBN: 4560046247  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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への屋 :

●98/02/27

イラストレーター、装丁者として名高い著者がこれまで行ってきた装丁という仕事について語った本。基本は語りおろしなので、語ったという表現がふさわしいだろう。

装丁とは、書籍のカバーデザインはもちろん、紙質や色などを含んだ、本としての体裁全部を考える作業。詳しくは本書を読んで欲しい。

デザイナーは、イラストレーターとは異なる技能を持った職業だ。イラストレーターはイラストという絵を描くのだが、デザイナーは、その絵やその他タイトルや著者名などの材料をいかに組み合わせて一つのものに仕上げるという作業を行う。絵がかけなくてもデザインはできるのだ。

イラストも描けてデザイン、装丁もできるという著者は、もちろん自分でイラストを描いてデザインすることも多いが、写真を使ったり、他の人の絵があってると思えば依頼したりもする。

装丁の仕事をするときは、基本的に内容を全部読むことにしているらしい。当たり前のことだが、内容を把握して、その内容に合ったデザインをする。そのこだわりが感じられる。

本書の最後の章を、書籍に付いたバーコードの話に割いている。雑誌にはバーコードがつけられている。コンビニなどへの流通での管理に便利なようにだ。そのバーコードが、文庫に進出して、ついに一般書籍にまで流通の合理化の名目でつけられるようになった。そのことに対する著者の憤り、特に自分の仕事に関することが、自分の関係ないところで決められて、その内容に納得がいかないのだ。自分が仕事をする場合は、バーコードは入れないように編集者、出版社と相談をしている。その結果、バーコードが付いてからは、以前の2割ぐらいの仕事量になってしまったと書いているのが一番印象に残った。

バーコードで便利になるのは、一番が流通の段階。つまり、書籍では、トーハン、日販という取り次ぎ会社だ。この2社だけが全国の書店への流通ルートを持っているので、出版社はこの2社が扱ってくれないと、本が売れなくなる。ほとんど独占状態だ。その取り次ぎが、バーコードつけないと扱わないといえば、出版社は従わざるをえない。全然健全な業界とはいえない。最近も、この2社が、消費税のアップに伴うコンピュータシステムの変更の経費を、全額出版社に負担させていたということが発覚し、公正取引委員会の指摘を受けている。

自分がしている仕事や生活に関わる事を、自分抜きで決められたらいやだね。けど、そんなことがいろいろ平気で行われている。それがもっと気になってしまう。

他の本棚 への屋, 本にまつわる本, 0014

最終更新 : 2006-05-25 02:12:34 +0900
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