●どこかにいってしまったものたち 97/09/07
明治から続くクラフトエヴィング商会という会社が取り扱ってきて、今では広告や取説だけで、商品そのものはのこっていない不思議な商品の数々を、集めた本である。
迷走した言葉を修復してくれる「迷走思考修復機」、なんでも結晶にできる「万物結晶器」、85のさまざまなぜんまいを巻いて動作させ水蜜糖が食べごろかどうかを調べる「水蜜糖調査猿」など、不思議な商品が収録されている。実物が残っていないので、どのような形態の物か判らないものも多数ある。
物や出来事が、過去に本当にあったのかということは、どのように確かめられるのか。記憶にあることは本物なのだろうか。たとえ証拠の取説が最近作られた物であっても、それが本当になかったとは言えない。いまはもう絶滅してしまったハナアルキも、いたのかもしれない。
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