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不安な童話 (ノン・ポシェット)
恩田 陸
祥伝社
ISBN: 4396326777
紀伊國屋
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カテゴリ
評 価
★★★
コメント
素光 :
着々と恩田陸作品を消費する日々。今日のこの作品は、「六番目の小夜子」「球形の季節」と続いての第3作目であり、今まで読んだ学園ミステリー(ホラー?)から離れた作品となっている。
秘書をしている大学教授に連れられて、今は故人である女流画家の遺作展に足を運んでみた女性が、会場で恐ろしい既視感に囚われ失神。そのショックも覚めやらぬ内に教授宅へ教授と彼女を訪れた画家の遺児は、「彼女が亡き母の生まれ代わりである」と確信している事、それを根拠として「自分と一緒に母親の形見分けを手伝って当時の記憶を思い出して欲しい」、と告げる。遺児もまだ幼い頃に非業の死を遂げた亡き女流画家は、その死の状況をひた隠しにされていた事もあり世間一般の記憶は薄く、主人公の女性が遺児と一緒に関係者達の元へ足を運ぶ毎に、女流画家の素顔及び死の真相が少しずつ明らかになっていく構成が面白い。登場人物がやや多くて絡みの薄い人物もおり、この辺はもう少し整理したほうがよりシャープな雰囲気になっただろう事と、ミステリとしては先が見えてしまいそうな展開なのがやや惜しい。何処かの書評サイトで「恩田陸の長編は練り込みが足りない」といった感じの指摘を読んだが、これは的を射ていると思った。扱われるネタや登場人物・舞台の醸し出す独特な雰囲気が、多少の欠点をカバーするだけの充分な魅力を持ってはいるのだけど。
主人公である女性は特殊な能力所持者であるにもかかわらず影が薄い存在である。が、彼女がその生まれ変わりとされる「今はマイナーな存在だがかつて一世を風靡した事もある女流画家」のカリスマ的存在感、彼女が秘書を務める大学教授のほのぼのとした人当たりの下に隠された豊富な知性、彼女を心配し見守る姉の料理好きな美人といった女性らしさとバリバリのキャリアウーマンで疲れて家でくつろぐ時のおやじ臭さといった二面性、その他何人かのキャラの個性的な魅力が光っていた。今までの学園物では見られなかっただろうキャラ達である。
権太の既読 :
恩田さんの作品は、メフィストの連載で読んでいたが、まとまった形で読むのは初めて。この本も10年くらい前に買ってあったのをようやく読めた。 大学教授秘書の古橋万由子は、訪れた絵画の個展で、今は亡き高槻倫子の遺児、秒から母の生まれ変わりである、と告げられる。万由子は、他人の記憶がフラッシュバックのように見えたが、倫子もそういう体質であったらしい。秒は、万由子に母親を殺した犯人を一緒に探して欲しい、といわれる。個展の際に見つかった倫子の遺言にある絵を渡して欲しい、とあった4人が怪しいと思われたが。その4人と順番に会ううちに万由子に奇怪な事件が次々と起こる。 恩田さんに特有の不思議な独特の世界がこの初期の作品から広がっている。10年積読本にしていたのがもったいないくらいの作品であった。残りの手持ち作品も順次予定本リストに入れて、未購入本も買っていかなければ。
他の本棚
海鳴り文庫
,
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権太の既読
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Ron
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彩
最終
更新
: 2004-08-03 01:21:34 +0900
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