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魚籃観音記 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社
ISBN: 4101171459
紀伊國屋
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カテゴリ
実家
評 価
コメント
べ_deleted000 :
1997年から2000年にかけて,主に新潮社の雑誌に掲載された作品を集めた短編集 (なぜか一つだけ文芸春秋の「オール読物」掲載作品がはいっている,なんで?) 。
なんと言っても圧巻は表題作,孫悟空と観音菩薩が姦るという「ポルノ西遊記」である。帯にも「発禁覚悟」とあるがこれはスゴイ。まさに天才筒井康隆の面目躍如,作品中,男性器を表す単語だけで,陰茎,ちんぽこ,ペニス,逸物,陽根,男根,錫杖,珍棒,陽物,魔羅,へのこ,棍棒,男性自身,肉茎,肉棒,一物,大砲,珍宝,巨根,松茸,<b style="color:black;background-color:#ffff66">デチ棒,コック,こね棒……はぁはぁ,こんだけあり,それらがまた適材適所 (笑) ,こーふんするぞ,これは。
だいたい筒井作品のセックス・シーンというと,大概のヒトが「エディプスの恋人」のあのシーンを想起するらしいのだが,あれはあんまりエッチぢゃない。個人的意見としていままでのベストは「残像に口紅を」の第二部,世界から「あ」と「ぱ」と「せ」と「ぬ」と「ふ」と「ゆ」と「ぷ」と「べ」と「ほ」と「め」と「ご」と「ぎ」と「ち」と「む」と「ぴ」と「ね」と「ひ」と「ぼ」と「け」と「へ」と「ぽ」と「ろ」と「び」と「ぐ」と「ぺ」と「え」と「ぜ」と「う゛」と「す」が消え失せたあとで行われるそれであったが,この「魚籃観音記」はあれにまさるとも劣らない。むしろあれの「饒舌バージョン」とでも言うべきか。
他の短編では「粗忽電器屋」とでも言うべき「作中の死」が面白い。鼠や犬猫 (が主人公の小説もこの本にはあるのだが) ではなくニンゲンの行いを小説という形で描く以上,意識してあるいは意識せずに身辺の誰彼をモデルとして書くことはどんな作家でもするだろう。が,その行為自体に着目し,思索し,こうした短編にまで昇華するのはやっぱり筒井さんならではという気がする。かなり印象は違うがこれは「虚人たち」の系譜に連なる作品だと思う。
なお,当然というかオレはこの本を単行本で持っているのだが,そのISBNをAmazonで検索したところ不本意ながら文庫本しか出なかった。文庫を出したらもう単行本は印刷もしないのだろうか。なんだかなぁ。
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最終
更新
: 2007-01-07 12:37:06 +0900
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