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黒の貴婦人
西澤 保彦
幻冬舎
ISBN: 4344004175
紀伊國屋
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コメント
大海原湊 :
待望のタックシリーズの最新作。待望とか言っときながら9ヶ月気付かなかったけど。今作も前作と同じく短編集だ。長編と違って短編集はちょっと物足りない気もするけどまぁしょうがない。流石に三作連続で短編集とはならないだろう。 まず最初は「招かれざる死者」。タカチとウサコが嫌々参加したこじんまりとしたパーティーで起きた殺人事件。玄関のチャイムがなったのでホスト役の有馬真一が迎えに行ったのだが戻ってきたのは有馬の悲鳴だった。タカチたちが玄関に行くとそこには腰を抜かした有馬と、胸にナイフを生やした見知らぬ女性が倒れている。状況から怪しいのは有馬だが、当の有馬はいつもパーティーをしているときに文句を言ってくる隣室の老人が犯人だと主張する。二人の内のどちらかの計画的犯行のように見えるのだが、タックはさらにもう2歩進んだ予想を展開させる。 表題にもなっている「黒の貴婦人」。タックシリーズ定番の答えのない推理合戦。ボアンたち一行が「さんぺい」・「花茶屋」のどちらかの居酒屋で飲み会をすると必ず現れるという白装束の女性、通称白の貴婦人。飲み会をするのが気まぐれならどちらの店に行くのかもきまぐれなのにどうしてどちらの店に行っても鉢合わせするのか。ボアンは飲み会常連のタック、タカチ、ウサコの中の誰かが飲み会の情報を横流ししていると主張するのだが。一歩間違えればストーカとされそうな気高さをウサコが垣間見る。 続いて「スプリット・イメージ」。合宿と称して数日間何もない田舎でゆっくりと過ごすことに六人の女子大生。ところが急に二人が抜けることになった。しかもそのうちの一人は唯一料理ができる人間だったのだからこのまま計画は中止になるはずだったのだが。なんとタックが料理人として女子大生達と一つ屋根の下数日間侵食を共にすることになった。年頃の男女が他人の視線のないところにやってきて何も起こらないはずはなく、何もないように過ぎて行った一日目、既に事件は起きていた。それも殺人事件がだ。タックとタカチの関係はいったい……。 というわけで他二話を合わせて全部で五話が収められている。西澤作品ではわりとよくあることだがフェミニズム色が多少あるけれど男尊女卑タイプの人間でも気にならない程度だろう。推理合戦は基本的にタック中心だったなー。
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大海原湊
最終
更新
: 2005-07-28 15:34:07 +0900
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