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ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)
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パオロ・バチガルピ
早川書房
ISBN: 4150118094
紀伊國屋,
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コメント |
Leiko :
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【これから読む人への忠告】
この小説を楽しく読むためには、読む前から忘れなくてはいけないことがたくさんある。ハヤカワさんも罪なことをしてくれたものだ。
繰り返す。この小説を楽しく読みたいなら、ページをめくる前に、以下のことを忘れてほしい。
・「ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/キャンベル記念賞」という受賞歴
・「グレッグ・イーガン、テッド・チャンを超える」という惹句
・「エコSF」というジャンル
・「ねじまき少女」というタイトル
さぁ、忘れ終わっただろうか。まだ最初のページをめくってはいけない。
めくるのは下巻の最後だ。そこに訳者のあとがきがある。それを一字一句漏らさず読んで、頭に叩き込むのだ。過度なネタバレはないので安心してほしい。ここで叩き込んでほしいのは世界設定である。上巻読み終わってから下巻買うつもりだったから上巻しか持ってないよ、という方は、今すぐ下巻も買ってください(しかしこの上下巻の表紙のデザインはバランス的に何とかならんかったのかねぇ)。
ところで、SFマガジンは読んでいるだろうか。買ったけど積んでいる、というなら、今すぐその山の中にバチガルピの既訳作品掲載号がないか探すのだ。これは先に読んでもいいし、お守り代わりに横に置いておいてもいい。
よし、ようやく読み始めてOK。分からない言葉や設定があれば、まるまる飛ばしても大丈夫。あとは一気に読むだけだ。上巻の前半でつらいと思っても、何とかして耐えてください。そこさえ耐えればあとは一気だから。
【ここからは純粋な感想】
「SFは絵だ」という野田大元帥の言葉が、頭の中でリフレインする。それくらいこの作品は視覚に訴えてくる。視覚だけではない、感覚器のすべてを襲う圧倒的な広がり。
猥雑でほんのりトンデモな世界観。そこを駆け抜ける利己的かつ魅力的なキャラクターたち。とにかく、何もかもがタフなのだ。それでいて暑苦しくはない。SFというよりは、ある種のハードボイルドの手触りによく似ている。
荒削りなあれこれは、新人の初長編ゆえと割り切って、あとは作品の持つ勢いに身を任せるが吉。
ジェイディーは下巻(つまり●になってから)の方がカッコいい。
カニヤ姐さん最高。秘めた葛藤を抱えている様子が堪らん。ラストには驚かされたが、しかし何故かとても嬉しく思えた。
いちばん可愛いのはエミコじゃなくてマイ。
ホク・センのその後がちゃんと語られていないのだが、彼にはきっと幸運があったと信じたい。
なお、この小説の本質的なラストは、水没した都市でエミコがあの人に出会う最終章ではなく、その前のカニヤ姐さんのシーンである。っつーか、エミコとあの人の会話は想定の範囲内で、全く面白くないしねぇ。
来年の星雲賞は堅いと思っているのだが、はてさてどうなることやら。
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最終更新 : 2012-11-03 13:18:41 +0900
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