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バナタイム

よしもと ばなな
マガジンハウス
ISBN: 4838714149  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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♪ : 今となってはツマラナイこだわりなのだが、同世代の作家を読む事は避けてきていた。「アイコ16歳」を15歳で立ち読みしたのがキッカケだ。内容も気に入らなかったが、作者が同学年というのもカンに触った。おかげで、後に友人から荒井素子を勧められた時も読まなかったし、せっかく黄金期のマリクレール(中央公論社が出版元だった頃)を定期的に購入していたのに「TUGUMI」も読まなかった。更に言うと、小説家の書くエッセイというのも嫌いで、感じたものを捏ねるのではなく、単に切った爪を並べただけのようにして人の日常生活を覗き見させらるのは、読んでいて居心地の悪いものだった。そんな二つのこだわりがやぶれたのが、この「バナタイム」だ。
常としてきた事が崩れる時は、いつも気持ちが弱っている時だ。だが、今回はつまらないこだわりが取れたのだから良い事だろう。
本書は2000年11月から2002年10月まで、ファッション誌「GINZA」に連載されたエッセイに加筆修正し、2002年12月に発行されたものである。内容は、父親の海での事故の話から始まり、長くつきあっていた彼との別れから、違う人と結婚して産休に入るまでの事柄を書いたものである。
あまりファッション誌は買わないので、連載されている事も知らなかった。書店の新刊コーナーで平積みされていたので目に留まった。手に取り、目次を見て気になったのが「別れというもの」という章。その1、その2と2章に渡るそのエッセイは、元カレとの別れと結婚する人の事柄が交差する。驚いた。新婚の奥様なのに、元カレとの別れで引きずっているモノ、未練とかではなく、体が覚えている元カレとの生活のリズムについて臆することなく語っていた。何て事だ、これでは切った爪ではなくて、生爪だ。何より、私にはこの辺のくだりは読んでいて痛かった。ちょうど離婚後に9年ばかり付き合っていた彼とハデな修羅場をして別れたばかりだったので、人が別れるという作業をどんな風にこなしているのか覗き見したくて「バナタイム」を読んだのだが、所詮こんな思いは皆同じみたいだ。単に落ち着いた年齢になってからの色恋沙汰が、やたら応えるという事なのかもしれないが。ただ、同じ「別れというのも」の章の最後に書かれている、「別れがこういうものであったら良いと思う」というくだりが、ちょっと良かった。というか、そういう別れ方をすればよかった。
久しぶりに読み直してみたら、痛さ加減が和らいでいた。また、これも良い事だろう。
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最終更新 : 2004-07-29 22:11:34 +0900
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