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済南(チーナン)賓館物語
佐藤 孟江
佐藤 浩六
春秋社
ISBN: 4393751205
紀伊國屋
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三代目平蔵 :
戦前、済南で正調の山東料理を学んだ女性による自伝。
文化大革命で破壊される前の山東料理の記述が興味深い。
孟江さん本人の料理にかける熱意もさることながら、彼女に引き揚げぎりぎりまで料理を教え続けた老板には、戦乱の世を生きた料理人としての嗅覚を感じる。
もし中国本土で山東料理が損なわれることがあっても、中国外に逃れた料理人が正式な山東料理を伝えていれば、山東料理の命脈を保つことができる。そのような考えも老板にあったのではないかと思う。
事実、その後の中国は、食文化が徹底的に破壊される文化大革命を経験する。
一点難を挙げるとすれば、ところどころ、筆者の知識が「山東料理」止まりになっていること。チャーハンは余りもの料理で客に出すものではない、とあるが、確か乾隆帝の宮廷料理にも組み込まれていたはず。砂糖・ラードも、食材としての魅力を考えると、他の地方の料理などでは積極的に使われているのではないだろうか。
しかし、文化大革命で、どれほどの伝統料理が失われたことだろう。改めて、文化大革命の愚かしさを思う。
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最終
更新
: 2014-10-30 04:29:42 +0900
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