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悩み多きペニスの生涯と仕事
悩み多きペニスの生涯と仕事
著者: ボー コールサート
出版社: 草思社
評価: ★★★★
カテゴリ: 医学
コメント:  ずいぶん昔の話だが,梶原一騎・川崎のぼるの「巨人の星」コンビに「男の条件」というマイナーな漫画があって,その中で紙芝居描きの主人公が,縄張り荒らしの落し前をつけるため,ヤクザの親分 (というのがそういえば可愛らしい女子高校生なのだ,「セーラー服と機関銃」を先取りしてましたな) の弟を「紙芝居で感動させなければならない」ハメになるんである。<BR>  この弟というのが,である。なんつうか女子高生にして女親分を立派につとめる姉の弟のくせに,皮肉屋のガリ勉 (死語?) 野郎で,ハナから紙芝居など馬鹿にしている。まっとうな方法では「感動」させることは不可能だ。そこで主人公とその師匠 (だいたいこの主人公は漫画家になりたいわけでもなかったくせにこの師匠の男気に惚れて仕事をやめ,紙芝居屋をやってるんだが) は一計を案じ,この弟のコンプレックスをこれでもかこれでもかえぐり出すような内容にする。<BR>  これを観て弟は激高し,子分どもに主人公達を痛めつけるよう指示するが,組の重鎮である「人斬り政」(だったと思う) に「坊ちゃん,コンプレックスを突かれて怒るのも感動には違いありやせん」とか言われて,その場に泣き伏す…という,いかにも梶原的理屈っぽさ漂う展開 (「人斬り政」ってインテリぢゃん) になる,と。<BR>  やれやれ,長い前置きであったけれども,ボー・コールサート著「悩み多きペニスの生涯と仕事」を読み終え,私もこの「男の条件」のヤクザの坊ちゃん的「感動」をしたんである。文章によって感情を揺さぶられ,それどころかありもせぬ痛みまで感じてしまった。なんつうか,男なら誰でもそうだと思うのだが,例えば下の「陰茎折症」の描写なんかどんなに即物的に書かれていても平静な気持ちでは読めない,と思うのだ。</p> <Blockquote>  ペニスの海綿体は堅い壁を持っている。これが激しい興奮のときには強度の緊張状態に置かれる。誤った動作をすると,海綿体が棒のように曲ったり折れたりすることだってあるのだ。こうなると,海綿体組織の壁が切れ,血液が高圧で組織の中に流れ込む。この出血が,猛々しく鋭敏な愛の絵筆 (「愛の絵筆」というのはこの本の原題でもある) をほんの短時間で変色させる。腫れあがり,無力で,痛いだけの器官に変えてしまうんだ。すぐに病院に受け入れてもらう必要があるね。 </Blockquote></p>  実はこの本を私は「題名買い」(題名だけ見て面白そうだ,と購入すること) したのだが, 松浦理英子の「親指Pの修業時代」みたいな小説かと思ったのだ。そしたら泌尿器科の専門医による,なんつうかペニスとセックスに関する医療相談みたいな本だった。で,上のような記述がバンバン出て来るのである。いやぁ,なんか股間が (性的興奮とは別の意味で) ムズムズして来ませんか。それはあなたも「感動」してるんですよ(笑)。
関連本棚: coup
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脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)
脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)
著者: V.S. ラマチャンドラン, サンドラ ブレイクスリー
出版社: 角川書店
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 医学
コメント:  事故などで切り落としてしまい実際にはない手足が痛む,という話は私も聞いたことがあった。この本はその現象,「幻肢」を皮切りに,カプグラ・シンドローム (脳に損傷を受けた人が肉親を偽者と感じる現象) ,サヴァン (映画「レインマン」でダスティン・ホフマンが演じたように社会適応能力に障害を持つ人が音楽や数学などの分野で異常な才能を示すこと) ,想像妊娠,多重人格などの現象を神経学的に検証したもの。 <BR>  面白いのは,幻肢などの不可解な現象をただ机上で取り沙汰するのではなく,それに悩む患者の臨床医として実地にその「治療」に取り組んだレポートでもあることだ。幻の手を開くことができず爪が掌に食い込む痛みに耐えかねて病院を訪れた患者が,著者の実験によって「先生,驚きました,手を開くことができました!」と言うシーンの感動は,子供のころ顕微鏡を覗いたり,セミの羽化を観察したり,月についての本を読んだりして感じたものと同種である。 <BR>  ニュートン力学,ダーウィンの進化論,フロイトの心理学と,科学の革命は常に「人類は特別な存在ではない,人類はこの宇宙という自然の一部である」ことを証明して来た,と著者は言う。それらは人間を「神に選ばれたモノ」の座から引きずりおろした,と考える人が多いようだが違うのだ,と。著者のラマチャンドランはインド人であり,その主張・感覚にはヒンドゥーや仏教の禅宗に近いもんが感じられる。その辺,もしかしたら原書で読んでるアメリカ人より我々の方が理解し易いかも。 <BR>
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