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賭博と掏摸の研究
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著者: |
尾佐竹 猛, 加太 こうじ, 藤田 幸男 |
出版社: |
新泉社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
歴史
犯罪
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コメント: |
著者の尾佐竹先生は司法官で大審院判事まで務め,「日本憲政史」とか「明治文化史としての日本陪審史」などの著作もあるなんというか大学者なんだが,肩書きのわりに,というか反してというべきか,そうとうくだけたヒトだったらしく,この本も文語体でありながら慣れるとスイスイと読める面白さなんである (ただし注釈無しに引用されている古文書,漢文の類いは除くが) 。<BR>
賭博の研究においては,日本でおこなわれる賭博をサイコロ系とカルタ系に分類,そのルーツが実は一つであることを解き明かし,返す刀でサイコロ賭博の種類と方法を克明に記して行く。一個でチョボイチ,二個でチョウハン,三個でキツネ,四個でチイッパ,五個がテンサイというぐあい。次にはイカサマの手口,昔の時代劇でしか観たことがなかったが,ほんまに中から針が出て来てひっかかり,出目を左右できるサイコロとかがあったんである (センセイ,明治期にそれを売っていた店の新聞広告を引用している〜これを全文ここに書き写せないのが残念だ)。<BR>
続くは掏摸,まず掏摸の技術がこれほど発展したのは日本だけであり,斯様に小手先が器用なのは幼時から箸を使ってものを食うせいだという (そのわりに「支那人に掏摸の才能なし」と断じているのがヘンなんだが) 。その上で日本が誇る (実際誇っているように読めるのがおかしいんだが) 掏摸の技術,手口について詳細を記し,江戸時代の稲葉小僧などら明治に名高い仕立て屋銀次の捕縛と判決までを解説する。<BR>
目ウロコ話が山ほどある,詐欺賭博の類いのことを関東ではイカサマと呼んだが関西ではインチキと言う,同じ掏摸と言う字をスリと読むのは関東の語で,関西ではチボと読んだ,コートに鈴を下げてそれを鳴らさずにスり取れるように修行するというのはウソだ,修行は全部実習である (オレなど子供の頃にちばてつやの漫画で読んで信じていたのだがなぁ) ,なりたての掏摸はモノを取ったらすぐに駆け出す,なので「駆け出し」という等々,目からウロコが落ちる音が半径450mくらいに響き渡った。 |
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