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たまゆらの鏡―大正ヴァンパイア伝説 六道ヶ辻 (角川文庫)

栗本 薫
角川書店
ISBN: 4041500648  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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素光 : 大正の時代、地方都市である伊奈に住む元城代家老の娘・百合は、父親と共に訪れていた元藩主の娘・莢子の家で、斎門伯爵と名乗る美貌の男と引き合わされて以降、閉塞し退屈なものと覚悟していた自分の未来が大きく揺れ動くのを感じる……。タイトルでと謳っている通りの吸血鬼譚である。「ヴァンパイア」の名前につられて、久々に栗本薫作品に手を出してみた。単行本の文庫化だろうと思っていたら文庫書き下ろしだったので、何故かちょっと得した気分。 「綺麗なモノが大好きで自分自身も美人でその上賢くて、我が儘高慢な元藩主家のお姫様には正直ちょっと困っているけれど、美人だしわかりやすくて可愛らしい性格とも言えるし歴史的には主君の娘だから怒らせちゃいけないし私の他にはお友達ができないような方だから、控えめに振舞って仲良くして差し上げていますのよ」という感じの主人公が鼻につかなければ、栗本薫風耽美+古典的吸血鬼を堪能できる。捻じ曲げられたホモカップルもいないので安心。主人公と元藩主家の娘が着道楽で、また伯爵の家に暮らすフランス人の娘も沢山の着物を与えられているという設定なので、着物の色・柄・素材・種類の名称が次々に出てくる。この辺の知識を持っている人なら、一層楽しんで読めるのではないかと思う(栗本薫の趣味が悪くない限り)。 物語の後半に登場する大導寺竜介という人物は、「六道ヶ辻」というシリーズ小説の登場人物であるらしい。また斎門伯爵は、「ヴァンパイア・シャッフル」という舞台の登場人物であるらしい。しかしこれらの作品との完全な整合性を期待するのは、著者あとがきによれば「美しく仕上がった繊細な和菓子や懐石料理に、栄養学者がカロリー計算や分析表を持ち込んで分解し始めるようなもの」であるらしい。言わんとする事はわからなくもないが、作家なんだしもうちょっと上手な言いようがあるだろうに、と思った。いや、あとがきがこれでこそ「栗本御大」と呼ばれるにふさわしいのだろうけど。舞台のほうはどうにもならないが、「六道ヶ辻」シリーズには少々興味を惹かれなくもない。忘れなければ古本屋で探そう。
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最終更新 : 2004-08-18 20:04:20 +0900
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