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謎とき『罪と罰』 (新潮選書)

江川 卓
新潮社
ISBN: 4106003031  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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K内 : 著者自身が、「主人公への感情移入を過度に重視する従来の小説理解への反撥があった」(ⅩⅡ章)と言っているとおり、 『罪と罰』を、心理とか哲学とかの観点よりも、ロシア語やロシア文化、キリスト教史といった観点から、やや重箱の隅をつつくように解説しています。 その辺が本書『謎とき』の価値だと思います。 前者の観点での解説なら、シェストフやら小林秀雄(他にもたくさん、山ほど出てるんだろうと思います)に任せればokなんだろうと思います。 ただ、帯にあるように「ドストエフスキーを愉しむために最初に手にすべき1冊」ではないかもしれない、です。
謎の中身ですが、たとえば、
1.タイトルの「罪」が、ロシア語で、「グレーフ(神のおきてにそむく行為)」ではなくて、「プレストゥプレーニエ(人間の定めたおきて(法律や社会的規範)を『踰える』行為)」であること
とか、
2.ラスコーリニコフのイニシャルが、実はアンチクリスト、悪魔を暗示していること
とか、
3.ラスコーリニコフとソーニャが、実はあのときにコトに及んでいたこと などなど、(少なくとも私にとっては)目から鱗の落ちる発見が続出でした。
蛇足ですが、ソフィーとマグダラのマリアを重ね合わせているところや、いわゆる「異教」を登場人物に見出しているところなど、はやりの『ダ・ヴィンチ・コード』にも通じるところがありました。
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最終更新 : 2006-07-16 14:17:13 +0900
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