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謎とき『罪と罰』 (新潮選書)
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著者: |
江川 卓 |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
著者自身が、「主人公への感情移入を過度に重視する従来の小説理解への反撥があった」(ⅩⅡ章)と言っているとおり、
『罪と罰』を、心理とか哲学とかの観点よりも、ロシア語やロシア文化、キリスト教史といった観点から、やや重箱の隅をつつくように解説しています。
その辺が本書『謎とき』の価値だと思います。
前者の観点での解説なら、シェストフやら小林秀雄(他にもたくさん、山ほど出てるんだろうと思います)に任せればokなんだろうと思います。
ただ、帯にあるように「ドストエフスキーを愉しむために最初に手にすべき1冊」ではないかもしれない、です。
<br>
謎の中身ですが、たとえば、<br>
1.タイトルの「罪」が、ロシア語で、「グレーフ(神のおきてにそむく行為)」ではなくて、「プレストゥプレーニエ(人間の定めたおきて(法律や社会的規範)を『踰える』行為)」であること<br>
とか、<br>
2.ラスコーリニコフのイニシャルが、実はアンチクリスト、悪魔を暗示していること<br>
とか、<br>
3.ラスコーリニコフとソーニャが、実はあのときにコトに及んでいたこと
などなど、(少なくとも私にとっては)目から鱗の落ちる発見が続出でした。<br>
蛇足ですが、ソフィーとマグダラのマリアを重ね合わせているところや、いわゆる「異教」を登場人物に見出しているところなど、はやりの『<a href="http://www.hondana.org/A3CBC6E2/4042955037.html">ダ・ヴィンチ・コード</a>』にも通じるところがありました。 |
関連本棚: |
K内
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詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)
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著者: |
茨木 のり子 |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
これは良書です。
現代詩が50編ほど掲載されていて、それに茨木のり子氏がとっても優しい語り口で思うところを述べています。
「はじめに」を読むだけでも、茨木氏の詩への思いがあふれ出てくるように感じます。よ。私には。
それまで年に1冊本を読むかどうかだった大学1年の私が、この本をきっかけに芋づる式に本を読み出した、そういう本です。
「文学ってイイなぁ〜」「芸術、ポッ(*σ_σ*)」と思い出したのです。
<br>
「食わずには生きてゆけない。」(『くらし』(石垣りん))とか、
「生れるってな、つらいし/死ぬってな、みすぼらしいよ—/んだから、摑まえろよ/ちっとばかし 愛するってのを/その間にな。」(『助言』(ラングストン・ヒューズ 木島始 訳))とか、
もうね、震えますよ。 |
関連本棚: |
岸リトル
中学生はこれを読め!
dorayakitaro
xtc1982-rmd
K内
nobuo_o
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生物の世界 ほか (中公クラシックス)
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著者: |
今西 錦司 |
出版社: |
中央公論新社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
学部時代に読んで、やられてしまった本です。
「棲み分け」理論はこの人が言いだしっぺです。
いまだに、仕事やプライベートで「すみわけ」という言葉を聴くと、ほんとに心臓がバクバクします。<br>
この本は著者が若いときの本で、まだ意欲的で生態学をぶちこわすぞ的な勢いがあります。
後の今西進化論での「なるべくしてなる」とか「いわくいいがたし」とか、もう科学じゃないです。呪術的です。<br>
ちと危険な香りのする人なんですが、某大学の某生物学科なんかでは、いまだにコアなファンがたくさんいる気がします。 |
関連本棚: |
一無
K内
nobuo_o
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The Fossils of the Burgess Shale
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著者: |
Derek E. G. Briggs, Douglas H. Erwin, Frederick J. Collier |
出版社: |
Smithsonian Inst Pr |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
バージェス頁岩の化石のカタログです。Whittingtonが「lovely book!」といったのを覚えています。 |
関連本棚: |
K内
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チェーホフ (岩波新書)
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著者: |
浦 雅春 |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
小見出しをいくつかあげると、
「不条理な現実」「感情の切断」「チェーホフの『非情』」「内部に巣くう『冷静さ』」「否定の論理」「崩壊する『意味』」「『絶望の詩人』」「『ここではないどこか』」…
こうして並べると、チェーホフファンを名乗るのははずかちい気もします。
痛いとこ衝かれた気分です。
<br>
ただ、そういう絶望とかペシミズムとかシニシズムとかってんですか、
が、若気の至りにあってはたまんないんです。
<br>
最終章の最終節「呼びかけと応答」では、チェーホフ晩年の、
てかサハリン行以降、もっと言えば『退屈な話』以降の作品における
「希望」について述べているのです。
いわく、「『音』や『呼びかけ』、そしてそれにこたえる『応答』は、チェーホフが『無意味』のはてに見出したかすかな光だった。」と。
<br>
たとえば『ワーニャ伯父さん』も『かわいい女』も『犬を連れた奥さん』も、
ロシア語では呼称、つまり呼びかけの形をとってるんだそうですよ。
『かわいい女』は英訳では「The Darling」だそうですよ。⇒(<a href="http://www.classicreader.com/read.php/sid.6/bookid.2046/">英訳</a>)
へえーーーでした。
<br>
なんですが、
なんとなく、こじつけ的な印象を受けてしまいました。
別に、無理に、かすかな光を見出したことにしなくてもよい気がして。。
それより、なんていうか、あきらめ、ていうんですかね、
結局思い通りには行かないけど、生きてくべ、的な、その辺が、
泣けるんですよこれがチェーホフは。 |
関連本棚: |
K内
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ズッコケ中年三人組
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著者: |
那須 正幹 |
出版社: |
ポプラ社 |
評価: |
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コメント: |
小学生時代に、『ズッコケ三人組』シリーズを何冊か
(たしか『うわさのズッコケ株式会社』とかを。)読んだことがあったので、楽しめました。
見返しの『稲穂県ミドリ市花山町』の地図や、
『花山第二小学校六年一組』の図はとても懐かしかいです。
三人組は40歳、ハチベエはコンビニ経営、ハカセは中学の先生、モーちゃんはフリーターになってました。
それぞれが、現職につくまでの過程が、また切ない。。
小学生のときには、自分が大人になったときのことなんて、
リアルに考たこともなかっただろうに、
それぞれにオトナの事情を抱えるようになっていました。
切なすぎる。。 |
関連本棚: |
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ムンクを追え! 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日
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著者: |
エドワード・ドルニック |
出版社: |
光文社 |
評価: |
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コメント: |
面白い!((o(‾ー‾")o))
ノンフィクションで、登場人物とか事件現場とかの写真も載ってます。
その、登場人物が非常にキャラ濃く書かれてて、小説みたいに面白いんです。
ルパンルパ〜ン♪
(↑ルパンざさ〜ど♪、でしたねはいはい)
の実写版て感じです。
おとり捜査官、(゜∀゜)カコイイ!!
美術館の交渉係になって、泥棒と、高級ホテルで闇交渉したりするんですよ。
また、美術品の盗難史とか美術史とかがドラマの横糸みたいになってて、これまた、
ワナビー教養人の心をくすぐります。 |
関連本棚: |
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