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ななつのこ (創元推理文庫)

加納 朋子
東京創元社
ISBN: 4488426018  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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評  価
コメント
桶 : 表紙で惹かれた人は買わないと損です。
増井 : ほのぼのミステリ。
MM : こんなにあったかいミステリ、うまれて初めて。
素光 : 「ささらさや」の著者による、こちらも連作短編集。古本屋で見つけて喜んで買った。「第3回鮎川哲也賞受賞作」だそうであるが、鮎川哲也という人をしらないので賞の重みがよくわからない。

ノスタルジックなイラストの表紙に惹かれて手にした短編(恐らく)童話「ななつのこ」に一目惚れした女子大生が、著者に直接語りかけたい衝動に駆られて生まれて初めて書いた「ファンレター」に自分の近況も盛り込んでみたところ、著者からの思いがけない返信には著者の想像による事件の「解決編」が記されていた。以後、主人公の日常にあらわれた些細な謎が「ななつのこ」1篇を絡める形で綴られ、童話作家がその真相を解き明かす、という形で1篇1篇話が進んでいく。繊細ぶったところがなく友人達からも元気いっぱいと思われがちであるらしい主人公の、意外と言っては失礼かもしれない感受性豊かさに、ファンレターを送られた童話作家同様に読み手の私の心も惹きつけられた感。

全7篇中から、感想を幾つか。

「一万二千年後のヴェガ」

東京都M市のデパートの屋上にいたビニール製の恐竜が、一晩で新宿の保育園の裏庭へと移動したにも関わらず、持ち出す人間を見たものが誰もいない不思議。1篇めで主人公が「神奈川県と東京都の境目、辛うじて神奈川県にしがみついているような場所に住んでいる」「自分達は<都会>という名のコンクリートジャングルの住人」と書いていたので、てっきり川崎市に違いないと思っていたのだけど、この篇を読む限りでは相模原市(町田付近)であるようで、その辺はコンクリートジャングルといった地域でもない気がしたがそれはさておき。童話作家が手紙の返信で綴った「真相」が、思い浮かべるにあまりにユーモラスな光景で大変印象的(ネタバレするのもアレなのでこれ以上具体的に書けないが)。「デパートの屋上のプラネタリウムで上映される星座の歴史」に共通する、矮小さと壮大さも兼ね備えているように思える。

「白いタンポポ」

友人の付き添いで参加した学校1泊キャンプにて仲良くなった小1女子を、教師達から情緒欠落というレッテルを貼られるに至らしめたという、少女が塗り絵で塗った「白いタンポポ」の謎。推理小説の時刻表トリックと一緒で、地元民等知っている人にとっては謎でもなんでもないのだけれど(私も知識としてはあった)、他の短編と同様に本題は謎解きではなく謎に行き着くまでの部分「この篇では『主人公と小1女子の交流』」にある。また、そう言えば私は子供の頃、「影響されて髪の色が紫や緑の人間を絵に描いて、それが理由で学校に『この子は情緒がおかしい』等と言われたら困る」という理由で、一部を除いたアニメの視聴を親に禁止されていたんだったと思い出して少し憂鬱になった。
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最終更新 : 2006-03-04 22:15:44 +0900
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