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双生児 (プラチナ・ファンタジイ)
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著者: |
クリストファー プリースト |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
たまたまYukaさんがみっけた書評に惹かれて購入しました。予備知識0です。</p>
<p>読みました。頑張って読みました。歯ごたえがありましたー・・・</p>
<p>部分部分の描写は生き生きしてるし、けして読みづらい話ではないんですが、物語は時間が行ったり来たり、主人公も行ったり来たり、ついにはパラレルワールドを行ったり来たり・・・読んでいて、今、どの節の歴史とつながっているのか、いったいいくつの併行世界が語られているのか大混乱。最後の最後のページで、えええーっとなって、</p>
<p>「ちょっと待って、ちょっと待って・・・ということは、ええーっ?」</p>
<p>いやー、大変。大森望さんの解説を読んでなんとかまあ気持ちは落ち着きましたけど、そもそも冒頭に決定的にこの世界のルールを破る描写が実はあったことが最後に判るという、なんともはや、すごい小説です。はぁ〜</p>
<p>大森さんは「大傑作」って評してるし、ネットの感想もかなり評判はいいみたいです。私も、この小説がすごいことは認めますけど、少なくともどんでん返しでカタルシスがあるって様な小説じゃないし、「あー、面白かった」と読み終えることは出来ませんでした。辛いわー</p>
<p>例えて言うなら、まったくルールの判らない球技をずっと見ていて、それぞれの選手の熱い戦いに何とか感情移入してボールを追っかけて見ていたら、試合終了後、実は勝敗は選手のファッションで決まりますと言われるような、そんな気持ちです。ええー、ちょっと待って。じゃあ、そのルールでもう一回見るから試合を戻してーって感じ。</p>
<p>ま、興味深く読んだし、結果を追わないパラレルワールドものってのは、すごいと思うんですけど、楽しめたかというと・・・私は野球が好きだなーって感じですかね(笑)</p> |
関連本棚: |
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岸リトル
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超解読涼宮ハルヒ
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著者: |
タブロイドと愉快な仲間たち |
出版社: |
三才ブックス |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
<p>
謎本なんてのも懐かしい響きですね。ただ、これは「磯野家の秘密」的な謎本ではなく、「涼宮ハルヒ」をオタク的教養を基にして解説した本です。素晴らしいですね。こういった本の存在が、選民としての正しいオタク(ああ、言っちゃった^^;)を世に広く知らしむるワケですよ。いや、オタクは死んだんですが(笑)</p>
<p>
思えば、「エヴァンゲリオン」というのは「オタクの教養」を引き上げるための大きな起爆剤になりました。エヴァ放映当時、ただのガンオタだった私は、エヴァにハマることでネットワーク上の同好の士と交わることを知り、GAINAXやDAICON FILMを知り、村上龍も読み(笑)、声優さんに興味を持つようにもなり、それをきっかけに他の多数の作品、クリエイターを知ることになって、オタクの教養を一気に引き上げたわけです。庵野秀明という日本3大オタク(他は誰だか知らん^^;)が作った作品だったからこそ、その中にはさまざまな引用とオマージュが散りばめられ、若かりしころの私は丹念にそのポインタをひとつずつ辿っていたわけです。</p>
<p>はてさて、あれから10年以上が経過し、その間にもいろいろと面白いアニメは沢山作られていたわけですが、視聴者のオタクの教養を引っ張り上げるような強烈な作品となると、なかなかに数が限られます。そして、「涼宮ハルヒ」は間違いなくそういう作品でした。なんせ、作者自らが選んだ「<a href="http://nagatoyuki.info/?%C4%B9%CC%E7%CD%AD%B4%F5%A4%CE100%BA%FD">長門有希の100冊</a>」なんてものが公開され、各話が放送される度、「<a href="http://sto-2.que.jp/ndiary/2006/04/200604241.html">なに読んでるの?長門さん</a>」と、劇中で長門有希が読んでいる本に言及するページが作られるほど。もう、これだけでも教養が高いですよ。私も長門に背中を押されて「ハイペリオン」を読んだわけです。</p>
<p>そんな、教養溢れる(といっても、オタクのだけどね)「涼宮ハルヒ」について、いろんな観点からウンチク垂れ倒しているのがこの本。個々の議論はイマドキはネットで語り尽くされているものが多いですが、そういった散逸しがちなものを一冊の本にまとめるのは素晴らしいことです。いい仕事してます。</p>
<p>中を見ると、原作のハルヒの世界観や、アニメのスタッフ、演出意図等の作品の読み込みから</p>
<ul><li>セカイ系の系譜とハルヒの関係</li>
<li>SFとハルヒの関係</li>
<li>クラシックとハルヒの関係</li>
<li>ミステリーとハルヒの関係</li>
<li>綾波と長門の関係(笑)</li></ul>
<p>なんてものまで考察してあって、いやあ、さすがにこれ全部をテリトリーとするには人生が1度では足りないんじゃないかという程のウンチクぶり。かなりお腹いっぱいですが、読み終わって二つ、欠けてるなーと思う視点が二つ。ひとつは、深夜のU局アニメでありながら衝撃の第1話という事件を視聴者が共有できた影の立役者であり、すでにアニメ、いや映像作品全般を作る上でマーケティング的に無視できない存在になったあのサービス、そう、YouTubeについて。もう一つは・・・アレだ、ハルヒ萌えな私が身もだえしながら読みたい、デレなハルヒの描写のまとめと考察デスヨ(笑)</p>
<p>でも、こうやってオタクの教養をこねくり回してうだうだと妄想語りができる作品なんてのもなかなかないわけで、やはり「涼宮ハルヒ」は偉大だなあと思うわけです。というわけで、はやく「驚愕」出して下さい。</p> |
関連本棚: |
増井
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捏造された聖書
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著者: |
バート・D. アーマン |
出版社: |
柏書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
<p>
みなさん、本文批評という学問を知っています?</p>
<blockquote><p>
「ほんぶんひひょう?なにそれ?」 </p></blockquote>
<p>読み方から違います。「ほんもんひひょう」です。私もWikipediaを観るまでは知りませんでしたが(笑)</p>
<p>本文批評というのは、ある文章の写本からオリジナルの文言を探る学問で、この著者が本文批評と言った場合には、それは新約聖書の写本に関するオリジナルの探求を意味します。この本は、タイトルこそ過激ですが(原題は「イエスの誤引用」)、本文批評の世界を一般の読者に紹介する良質な教養書です。</p>
<p>私たちは、つい、書籍というのは出版されたものを想像してしまいますが、世界史の授業で習ったとおり、活版印刷発明前は聖書は書写して伝えていたわけです。この本は、最初に著者がなぜこの分野に取り組むことになったのか、この種の本としては異例な長さの「はじめに」で言及されています。</p>
<p>素朴な聖書原理主義者だった著者が、聖書の解釈に関するレポートで聖書の一見、矛盾している記述に対して何とか解釈を加えて提出したところ、担当教官から「そこは、筆者は単に間違えたのでしょう」とコメントされ衝撃を受けたというエピソードが紹介されています。聖書は神聖な書物で、その内容は霊感によって書かれている。だから、聖書に書かれていることはすべて真実として受け止めなければいけないという著者の信念は、揺さぶられることになります。</p>
<p>しかし、そもそも新約聖書に収録されたキリスト教文書がそのように霊感によって書かれたものであったとしても、それは写本を作った書記の(まれに)意図的であったり、(たいていは)なかったりする誤りによってどんどん変わってしまうものです。</p>
<p>まあ、とにかく人は間違えます。どんどん間違えます。新約聖書全体で、異文(写本によって内容が異なる部分)は万の単位であるんだそうです。うへぇ。そして、その大半はうっかりの間違いなんですが、その中には(身勝手ではあるかも知れないが善意による)意図的な修正、削除、追加などがあるわけです。</p>
<p>では、どんな場合に異文は生じるのでしょう。意図的な修正はどのような時に行われるのでしょう。その歴史的背景はなんなのでしょう。そして、本文批評家達は、どうやってオリジナルを探し出していくのでしょう。そして、新約聖書のオリジナルとはなんなんでしょうか?聖書がこれほどまでに誤りを内包しているのに、我々(・・・といっても、私はクリスチャンではないですけどね)は何を信仰の根拠にするのでしょう。</p>
<p>安易な表現と、平易かつ生き生きとした文体で書かれているので、「聖書の持つ、人間くささ」に引き込まれます。私のようなキリスト教徒じゃないものには、単純な歴史ドラマとしてとても楽しめました。</p>
<p>それにしても、その考えが後生に正しく伝わっているのかどうかはよくわかりませんけど、たかだか20年ちょいしか生きていない男の、別の宗教の宗教解釈を、世界最大規模の宗教に仕立て上げてたのは、間違いなく初期キリスト教文書を書き、それを、書写し広めていった人達なわけです。私は、イエス・キリストが神だとは考えない立場の人間ですが、それだからこそ、こんなことを成し遂げた人(達)がいるということのほうが、よほど奇跡的なことで、「そりゃ、水をワインに変えるどころのはなしじゃねーぞ」と思うわけです。</p>
<p>でも、その当時、珍しい「教義が文書化されていて、情報(聖書)が大きな権威を持っていた」宗教であったことがキリスト教の発展の源だったのかなと思うと、やはり情報の持つ力は凄いなと、そんなことも思ったりしますね</p> |
関連本棚: |
Tambourine
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空とタマ―Autumn Sky,Spring Fly (富士見ミステリー文庫)
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著者: |
鈴木 大輔 |
出版社: |
富士見書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
<p>
子供ってのは、実は自分が子供だってことはよくわかっているものです。だからこそ、イライラして、空回りしてしまい、周囲から「ガキだな」と思われてしまうわけで。</p>
<p>そういう14歳ぶりが良く書けていて、感心してしまいました。あまりに主人公が14歳なのが微笑ましくて、読みながら感情移入する先がないっちゃないんですが(笑)、まあ、それでも14歳っちゃ、こんなものよね。</p>
<p>お話は主人公である空が、家出先の廃屋で女性と出会う話です。ボーイ・ミーツ・ガールっぽい設定なのに主人公がものすごく14歳なので全く恋愛話にはならないワケですが。つか、この表紙のタマは、なんか違うだろ・・・</p>
<p>SFでも、ラブコメでも、ミステリーでもなく(なんじゃ、富士見ミステリー文庫って。ミステリーファンにぶん殴られるぞ)、至極まっとうなジュブナイル。青春まっただなか。コミカルな調子で始まって、なかなか胸苦しい展開に持って行き、読了感は爽やかの一言(ハッピーエンドとは言えないんですがね)。素晴らしい。あまり普段、本を読みません・・・というような若い人が読んだら墓場まで持って行きかねない直球の感動が味わえます。</p>
<p>これは、東浩紀的にいうところのライトノベルではないですね。コアなミステリー好きのための新本格が偏ってどんどん袋小路的な進化を遂げていったように、ライトノベルもターゲットとウリを絞った企画書が通り易い作品が増えているような気がする中、こういう作品がすみっこにぽっとあるだけで、ラノベブームも捨てたもんじゃあないなあと、そんな気持ちにさせられる1冊でした。オススメです。あ、キミは「どこがミステリーじゃ!」と破り捨てる方の人なので読まなくていいです(笑)>ドック(仮名)</p> |
関連本棚: |
Tambourine
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“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)
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著者: |
野村 美月 |
出版社: |
エンターブレイン |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
<p>方々で評判のいい"文学少女"シリーズ。気になっていたので、第1巻を読んでみました。</p>
<p>本好きで、気に入った本をそのままびりびりと破いて食べてしまう(タダのヘンタイなのか、人外なのかはこの本では不明)ハラペコのトラブルメーカー、天野遠子と、元天才美少女作家で何らかのトラウマを追っている少年でツッコミ役、井上心葉の二人きりの文学部へ、ある日、事件が持ち込まれる・・・というフォーマットです。</p>
<p>ところが、この巻では遠子が本を食べるという設定も、心葉の過去もあんまりストーリーに生きてきません。ゆっくりと設定を解決するつもりのようです。投稿作では出来ない真似だ(笑)。実は、いきなり初巻でこれなんですけど、持ち込まれる物語と、全体を貫く太宰治の「人間失格」が絡むモチーフが面白すぎて主人公たちのそのアタリの設定がどーでもよくなっちゃってます。最初は、心葉にラブレターの代筆をお願いしたいという依頼から始まるんですが、それが二転三転、本格ミステリー顔負けの展開を遂げます。読ませ方というか、ミスリーディングが巧い。評判に違わぬおもしろさ!</p>
<p>この巻だけ読むと、美羽とミウの関係がわからんとか、あからさまなツンデレ娘が放置とか、こいつホントに男じゃないんじゃないかとか、ヌードシーンの意味がわからないとか、いろいろと気になるところはあるんですが、そこはそれ、続編でどんどんとこなしていってくれればいいところ。1巻から全力振り回してないところも、これはこれでよしとしましょう。えーっと、どこまで既刊なんだっけ?4巻までか・・・すぐ読んじゃいそうだわ。</p> |
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コダワリ人のおもちゃ箱
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著者: |
松浦 晋也 |
出版社: |
エクスナレッジ |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
<p>
「はやぶさ」関係で、いつも情報を自身のblogへ載せてくれる松浦さんの新刊です。お礼の意味も込めて、購入。でも、期待に違わず面白い本でした。</p>
<p>ここでは、いろんなやり過ぎちゃってる人達の生き様が紹介されてます。</p>
<p>こんな人達です</p>
<ul><li>線路を自分で敷く鉄道マニア</li>
<li>新駆動方式の自転車を作る人</li>
<li>改造・・・では飽きたらず、いちからサイドカーまで作って認可を受けるバイク屋</li>
<li>自作の人工衛星を宇宙へ送る研究者</li>
<li>すべてのデータを「家」に記憶させる人</li>
<li>1リッターのガソリンで4000km走る車を作る人</li>
<li>400万個の星を投影するプラネタリウムを作る人</li></ul>
<p>なーんつって、キューブサットの中須賀先生、BTRONといえば・・・の美崎さん、メガスターの大平さんのことは、聞いたことがありましたけどね。しかし、世の中にはいろんな人がいるものです。</p>
<p>松浦さんもまえがきで語っていますが、この人達のやっていることを「所詮、趣味でしょ」と簡単に切り捨てることは、私たちがついつい悪意もなくやってしまいがちなことかも知れません。そういうのはよくないね・・・てなことを思いつつも、この本は「へー、えらいアホなことをやってはる人がおんねんなー」とエンターテイメントとして読んでしまうのもいいんじゃないかなーと個人的には思うのです。</p>
<p>それにしても、またちょっとBTRONをいじりたくなってしまった(笑)</p> |
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スノウ・クラッシュ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
ニール スティーヴンスン |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
表紙はガイナの鶴巻さん。案外、ぴったり来てる気がします。
それはさておき
Second Lifeが何かと話題ですね。鴻上さんの「朝日のような夕日をつれて」で書いていたイデアライフが現実になったわけです。ちなみに鴻上さんは「スナフキンの手紙」のやんすネットで、2ちゃんねるも予言してたしなあ。で、はっきりいって、私はSecond Lifeには興味なし。ま、私にはヴァナディールで十分だし。メディアとしての有用性があることは否定しないけど、真っ先に出て行く価値があるようにも思いません。
さて、Second Lifeを語る上でよく話題になるのがこの「スノウ・クラッシュ」。Second Lifeを作った人達はこの小説のファンで、ここに出てくるメタヴァースが念頭にあったみたいですな。というわけで、SF者の基礎教養として読んでみました。
2007年の観点から読むと、そこに書かれているメタヴァースの様子が全く新しく読めず、また、全く古くさく読めないことに驚かされます。要するにここに書かれているメタヴァースは、それがそのまま今の仮想世界のようになってきているということです。うーむ・・・さすがなんでしょうか?でも、それとは別にもっとはっちゃけてる「スノウ・クラッシュ」の世界の現実のほうが面白かったり。かなりアナーキーな世界になっちゃってて、ヴァーチャルのほうが秩序だっているんですよね。さすがに、現実はまだまだそれは逆かもしれない。
ミームを中心に捉えて、生理的な機能を有するミーム(小説の中では、「ミー」と呼ばれる)と、RNAウィルスと、コンピューターウィルスとをごっちゃまぜにして描かれる陰謀とそれに向かうハッカーで剣士で音楽家でピザ配達人の主人公・・・正直、てんこ盛り過ぎてアイデアが消化し切れてないんですけど、そのごちゃ混ぜ感も世界観にマッチしていていい味を出していると言えるかも。
それにしても、やっぱり時代の流れの速さを感じますね。 |
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人類進化の700万年 (講談社現代新書)
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著者: |
三井 誠 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
人類学の最新の動向を新聞記者さんがまとめてます。中で出てくる話も2000年を過ぎてからの研究の進展を中心にまとめてあり、私が子供の頃に学校で習った話はもうかなり古いんだということを思い知ります。</p>
<p>そもそもタイトルから・・・皆さん、最古の人類の名前、わかります?アウストラロピテクス。はい、学生時代よく勉強してましたね。アウストラロピテクスが生きていたのは?覚えてませんか?500万年前ぐらいです。</p>
<p>そう。つまり、最新の研究ではアウストラロピテクスは最古の人類ではありません。それ以前の人類として3種があがっていて、一番古いのはタイトルの通り、700万年前のサヘラントロプスです。報告されたのは2002年。そりゃ、知らないのも無理はありません。</p>
<p>そんな話がごろごろ出てきます。人類学が今まさに凄い勢いで発展していることが、この本を読めばわかるし、その進展の内容も、そして、今何故次々に新しい発見がなされているかも、読めばわかります。さくさくと読めます。我々はどこからきたのか。現代人の教養として、ぜひ読むべし。</p>
<p>そして、専門家ではなくジャーナリストが最新の研究をきちんとまとめてくれていることに感謝です。私たちはこういう仕事をもっと評価しなければならないと思います。新書でエッセイを書くバカ共の本を喜んで買うバカ共が多い中、うれしくなる一冊でした。</p>
<p>バカになるのは簡単です。皆さん、教養のジョギングを怠らないようにしましょうね。</p> |
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女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉 (富士見ファンタジア文庫)
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著者: |
野尻 抱介 |
出版社: |
富士見書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
<p>うーん、面白いね。高校生・・・はまだしも原住民(笑)が半年で軌道計算まで出来るようになるのかとか、発育障害にはならないのかとか思いますけど、その辺りは言ってもヤボ?勢いがあるし、女の子が可愛いのはいいことです。ゆかりちゃん、いい子だし。</p>
<p>そして、最近の宇宙開発事情を聞きかじったことのある人ならニヤニヤとしながら読めるし、ロケットものの基礎教養はこの本で十分なんじゃないってぐらいにSFです。基本的に大嘘はないようになってますんで。</p>
<p>ただ、軌道がまちがっちゃった原因は明らかにして欲しかったな。多分、設定的には考えてるんだと思うんですけど。これだと、本当に原因が「呪い」だと思いこむ人がいるんじゃないかと心配です(笑)</p>
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ビッグバン宇宙論 (上)
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著者: |
サイモン・シン |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
<p>「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンが、今度は宇宙論について書いてます。</p>
<p>私は物性物理をやってたので専門ではありませんが、さすがに理学部物理学科卒なので、ここに出てくるぐらいのビッグバン理論とその根拠ぐらいは一通り知ってます。ただ、だからといってこの本が退屈かというとさにあらず。天動説と地動説、あるいはビッグバン宇宙と定常宇宙の対立の時代的な背景やそれに関わる人々の人生は、物理の教科書には出てこないですからね。そういう部分を丁寧に書いてくれるところが、サイモン・シンの魅力です。</p>
<p>ただ、やっぱりこの分野にあんまり詳しくない人の方が楽しめるかなという気はします。「フェルマーの最終定理」の方が、研究の意義を含めて全然わからなかったのでそっちの方が私は面白かったです</p>
<p>あと、90年代から2000年にかけての進展があまり記述されていないことが気になりました。あまりに専門的になりすぎるから避けたのか、サイモン・シンから見て記述するほどの進展はないということなのか・・・。まあ、ビッグバンモデルを終着にもってくるとこうなっちゃうのかな?でも、最新の状況を知りたいなという気持ちもあります。</p> |
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人のセックスを笑うな (河出文庫)
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著者: |
山崎 ナオコーラ |
出版社: |
河出書房新社 |
評価: |
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コメント: |
<p>
第41回文芸賞。うーん、なんつうか、文芸賞っぽい(笑)</p>
<p>39歳の美術専門学校の講師と19歳の学生の不倫の恋・・・と書くと、湿っぽくなるんですが、文体がまるでチルドルームのように冷たくて湿っていても霜になってしまうかのようで、あまり臭いもしません。</p>
<p>女性が男の主人公を書いているせいか、19歳の男の子の持つ熱っぽさの様なものがなく、そこにあるのは恋愛の甘美さと執着と混乱だけ。それがなんとも不思議なセンスを醸し出しています。奇抜なタイトルも、読む前と読む後では受ける印象がかなり違います。凍る寸前の文体で何度もセックスという言葉が使われた後では、このタイトルも冷たくした刺身のツマのような、死んで乾ききっているわけではないのに生命感がぎりぎり引き絞られたような、そんな言葉たちに感じてしまいます。ただ、読んだ後、このタイトルが作品にあっていたかどうかは疑問なんですけど。おもしろさ優先なのかな?ま、それはそれでありかもしれないですが。</p>
<p>面白かったかと尋ねられれば「うーん」と首をひねらざるを得ないんですが、センスは感じます。文庫版に併録されている短編も合わせて読んで、なるほど面白く書くねと。ただ、面白く書いてる、つまり、面白い表現をしているんだけど、面白いものを書いてないんですよね。写真でいうと、構図は上手いんだけど、シャッターチャンスを掴んでない感じ。ありきたりの風景をいい味わいで焼き付けてるけど、違う視点も入ってない。被写体の選び方が早すぎるのかな。もう少し、吟味して選べばもっと面白いものが書けるんじゃないかなと思いますが・・・まあ、それもセンスのうちということで言えば、そっちのセンスはないのかもしれないですなあ</p>
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