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ビター・メモリー (Hayakawa novels)
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サラ パレツキー
早川書房
ISBN: 4152084634
紀伊國屋,
Amazon,
WebCat
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カテゴリ |
アメリカ
小説
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評 価 |
★★★★ |
コメント |
べ_deleted000 :
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第1作の「サマータイム・ブルース」に登場以来ずっと彼女の「頼りがいのある姉」みたいな立場だった医師,ロティ・ハーシャルの過去を巡る物語である。原題は「
Total Recall」,同名の映画のイメージがあるのでそのままの邦題にしなかったんだと思うが,映画の方の原作はP.K.ディックの「追憶売ります」でその原題は「We ca
n remember it for you wholesale」なんだからややこしいよな。
閑話休題,恋人モレルがアフガニスタンに取材に行くことで憂鬱なV.Iは,黒人労働者サマーズからの依頼で彼の叔父にかかっていた筈の保険金詐欺事件を調べ始める
。同じ頃シカゴでは今も残るホロコースト被害についての会議が開催され,そこで「ナチスの生き残りによって虐待を受けながら育ち,最近催眠療法によって自分が実
はユダヤ人であることを思い出した」と称する男がスピーチを行う。ラドブーカと名乗るその男の名を聞いてロティは失神,わけを問い質すV.Iに彼女はかたく心を閉ざ
してしまう……。
ホロコーストとユダヤ人という重いテーマを真正面から描き切った力量はさすがだし,ミステリとしても謎解きもこれでいいんだろうが,1本の小説としてはバランス
に不満が残る。未解決の謎,というか「それであいつはどうなったの?」という当然語られるべきエピローグが欠落している印象。なんつうか,すっと追いかけている
シリーズだけに,そういう細部までを描くことによる物語の厚みを大切にして欲しいと思う。
それにしてもなるほど,「故人が生命保険に入っていたことを遺族が知らないという理由で,保険会社が支払わずに済んでいる金」というのはきっと想像以上に巨額
なんだろうな。言ってみりゃ使われないテレフォンカードみたいなもんだもんなぁ。オレもちゃんと親に聞いておかなければ。
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最終更新 : 2006-08-09 16:49:07 +0900
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評 価 |
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