hondana.org
本を探す

 


Scrapbox
書籍追加 | 本棚情報変更 | 名前変更/本棚削除 | ヘルプ | ランダム

Fms
ポップ1280
ポップ1280
著者: ジム トンプスン
出版社: 扶桑社
評価: ★★★★☆
カテゴリ: ピカレスク アメリカ 小説
コメント:  吉野朔実の「弟の家には本棚がない」で知って取り寄せた1910年代のアメリカの田舎町を舞台にした暗黒小説……。つか,こりゃアメリカ版「村井長庵」(「歌舞伎・勧善懲悪覗機関(かんぜんちょうあくのぞきからくり)の」でもいいんだけど,ここは「筒井康隆の」を思い起こしていただきたいところ)ですな。<BR>  人口1280人の田舎町ポッツヴィル,この町の保安官ニック・コーリーは間抜けの皮をかぶった極悪人である。町の売春宿に巣食うヒモ達を殺して隣の郡の保安官をその犯人に仕立て上げるわ,時期保安官選挙の対立候補を噂を武器にして追い落とすわ,愛人の亭主を銃の暴発事故に見せかけて殺すわ……。そして彼はうそぶくのだ。「オレの意志ぢゃない,オレはみんながオレに期待していることをしているだけさ」。<BR>  同じ暗黒小説と呼ばれても,エルロイや馳星周の主人公たちはもっとギラギラで欲望むき出し,人を殺すときも鼓動バクバクな感じがするんだが,この男は違う。心の底からそんなことはたいしたことぢゃないと思っている,通るのに邪魔な石をどかすような感じ。ね,村井長庵でしょ? <BR>  ……ところで「弟の家には本棚がない」にはこの本をネタにジャン=ベルナール・プイというフランス人作家が「1280の魂」という本を書いた,でも翻訳はされていないという話が出てくるのだが,ワシもそれが読みたい,読みたいぞ。
関連本棚: ud@ko あずきのリアルな
Fms