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オビにある,「アメリカ人は,なぜあんなにマズい食事で平気なのか?」という宣伝惹句にノセられて買ってしまった235ページ。この設問への答えとしてあげられているのはピューリタン的禁欲指向,開拓時代に培われた味より便利さへの渇望,そしてそれが行き着いた果ての,「オフクロの味は缶詰スープ」という現実など,目からウロコが落ちるような話ではない。まぁCIAやNSAの陰謀でメシがまずいわけもないが。<BR>
面白かったのはアメリカ人のどっかおかしい健康オタクぶりや,傍若無人なスシの食い方など,オレも常々思っていたあれこれが取り上げられていること。思わずそうそう,そうなんだよね,と同意首肯させられる。普通の日本人なら3食分はゆうにありそうな量のメシをコーラの1リットル瓶で腹に流し込みながら「日本食はローカロリー,ローファットだというから食ってるんだがちっとも痩せない」と愚痴るおばさんを見たことがあって,オレも「そんだけ食うなら何食っても一緒ぢゃないのか」と思ったもんな。<BR>
その他,アメリカで美味しいものを食うには郊外のエスニックを狙えだとか,結婚祝いの贈り物として定番のクックブックの話だとか,ベジタリアンの種類だとか,スラスラ読めるだけでなく史料的な価値もありそうだ。ここ数年,毎年行っている,バークリーのレストラン「シェ・パニーズ」の創業者アリス・ウォーターズの開店直後の苦労話なども興味深い。 |