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『結末を問う作品』
直貴の言葉のなかに、「強盗殺人犯人の弟」という避けられない運命を背負い、生きてきた人間像がうまく表現されている。少し投げやりで、人と深く関わろうとしない、そして人にも深く関われない・・・どこか人生を諦めているような。自分の周りに直貴のような人がいたら、やはり私はこの作品のなかに描かれているように、接触を避けると思う。この人が犯罪者ではない、とわかっていても。そのようなことを考えながら読んで行くと、非常に後味が悪い。自分が責められているようだ。おまえならどうする、と常に問いかけられているようで胸が痛んだが、それが作者からのメッセージなのだと思う。 |