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続・ウィーン愛憎―ヨーロッパ、家族、そして私 (中公新書)
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著者: |
中島 義道 |
出版社: |
中央公論新社 |
評価: |
B |
カテゴリ: |
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コメント: |
『うるさい日本の私』『孤独について』などの著作で、その性、狷介にして自らを恃むところ頗る篤い人物であるのを、これでもかというくらい喧伝しているこの著者だが、本エッセイにおいては、今日の礼儀を失ったウィーン人の傍若無人ぶりにいつもの「狂人」の席を譲っている―――家族との常軌を逸した確執を除いて。"ものは豊かになり、人は粗暴になる"のくだりなどは、ウィーンだけには古き良きヨーロッパの風習が残っている、という一般の認識を大きく覆す実態が描かれていて、ショッキングですらある(老人に席を譲らない若者 など)。
逆に、変わることの無いかのハプスブルグ帝国の官僚的横柄さ、つまり制度の能率の悪さ、などについても怒りをこめて語っていて面白い。実際に体験すればさぞかしカルチャー・ショックを受けることであろう(微苦笑)。
前作(続・ではない方)を読んだ方でも、この14年ぶりの続編における、ウィーン大学内でのヤパノロギー(日本学)の異常な人気・彼らのヨーロッパ中心主義に対する過度な「反省」具合の著者の観察記の部分は、興味を持って読むことができると思われる。 |
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闇の奥 (岩波文庫 赤 248-1)
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著者: |
コンラッド |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
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コメント: |
1899年著、原題"Heart of Darkness"
20歳を過ぎてから本格的に英語を学び始め、ついには世界的な英文学の大家にまで上り詰めた驚異的読書家Joseph Conrad。このポーランド生まれの作家は、この作品において、彼らの民族の語学的天才性を証明するだけでなく、かの国特有の仄暗さ・閉塞感に満ちた状況を描き出す巧みさによって、ポーランド人の語り手としての優秀さの一例を示した。
コッポラの『地獄の黙示録』が本作の翻案であることは良く知られているが、時代背景に80年の隔たりがあること、当時としては極めて先見性に富む作品であったことはあまり知られていない。筆致の繊細さを味わうために読んでみるのも一興。 |
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ピアノはなぜ黒いのか (幻冬舎新書)
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著者: |
斎藤 信哉 |
出版社: |
幻冬舎 |
評価: |
C |
カテゴリ: |
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コメント: |
帯のアオリは以下の通り ・世界一権威のある音楽辞典にも載っていない「バイエル」 ・日本のピアノ普及率は世界一 ・子供がレッスンを受け続けられるかどうかは、親を見れば分かる etc... ピアノにこんなに大きな音は必要か、という筆者独特の考え方と、「音」に対する神経質なまでの拘りの中に垣間見られる真摯さ、及び自然を敬い歴史を重んじる信条が、本著の眼目たる教育に関するの部分を傾聴すべき論へと高めている(書名からは想像できなかったので書いておく)。 ただ、後半のホームコンサートの勧めの章では著者にとって気持ちの良かった思い出、人に恵まれうまくいった場合などが紹介され、読む者にとって毒にも薬にもならない話ばかりに頁が割かれているのには拍子抜けである。 |
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