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責任 ラバウルの将軍今村均 (ちくま文庫)

角田 房子
筑摩書房
ISBN: 4480421513  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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Akio : 昭和の高級軍人というと,一般にイメージがよろしくない。陸軍軍人は特にそうだ。しかし,どの世界にも例外はいるものだ。陸軍大将今村均がそうである。 ラバウルの司令官となり,あてにならない補給の中で,農耕を実施して,10万将兵を飢えさせなかった。敗戦後,戦犯となってつかまった部下将兵たちが豪軍看守らの虐待に苦しんでいた。彼らを暴力,不当裁判,死刑判決から守るため,身を挺して奮闘した。自らも懲役9年の判決を受け,後に巣鴨拘置所に移送されたが,現地マヌス島の刑務所でかつての部下たちが不法な虐待を受けていると聞いて,自らマヌス島への移送を願い出て,現地で囚人代表として豪軍当局と掛け合って虐待をやめさせた。相手方も,今村の人格ゆえにその言うことに耳を傾けざるを得なかった。 「責任感」という言葉を絵に描いたような人だ。部下たちからは神仏のように慕われた。 あれだけの外国人を殺し,あれだけの日本人が殺され,日本が初めて民主主義の国になるきっかけとなった,日本史上未曾有の大事件である今次の戦争。それも遠い昔でなくついこの間の出来事であるこの戦争について,1冊の本も読んだことがない人が多くいるということは,この日本という国は異常なのではないか,と考えさせられてしまう。 この本に限るわけではないが,例えばこのような本を読んで,どんなことが起こっていたのか,まず事実(の一端でも)を知ることが,右翼とか左翼とかにかかわりなく,必要なことだろう。それは,同時に,面白いことでもある。
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最終更新 : 2008-12-09 15:12:31 +0900
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