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奇偶 (講談社ノベルス)
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著者: |
山口 雅也 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
5/5 |
カテゴリ: |
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コメント: |
「たまたま」いつもと違う電車に乗ったら、事故にあった。「たまたま」出会った人と、「たまたま」再会した。「ありえないような」偶然に偶然が重なって、事故が起きる。あるいは命が助かる。そんな話が時折話題になる。奇妙な偶然の一致、シンクロニシティー。だれもがそんなことを経験していると思う。「奇遇」という言葉もあるくらいだし。
「偶然」とは一体何なのか? 「たまたま」ってなんだ? 昔から気になっていたが、偶然についてのもやもやはすっきりしないままだった。本書を読んで、多少、もやもやが解消された気がする。
本書は小説の体裁をとってはいるが、「偶然」について、易経、心理学、哲学、民俗学、宗教、量子論など、様々な学問分野から、とことん思索を巡らせた「偶然学」の思想書と言っても良いくらいだと思う。
奇妙な偶然の連鎖に絡みとられていく推理作家。そして起こる密室殺人。それは易による見立て殺人なのか。
というと、普通のミステリーっぽいが、実際の所これはSFに近いと思う。密室の謎も、まさかそんなネタじゃないよな、と思っていたとおりのネタだったし。ラストで論理的に全ての謎が解決されてすっきり、というのを期待している人は怒るんじゃないかと思う。テイストとしてはグレッグ・イーガンと神林長平を足して2で割った感じ。量子論の「多世界解釈」や「人間原理」も出てくる。あんまり言うとネタバレ的になってしまうが…
小説としては「奇書」と言われてしまうのもやむなしという感じだけど、非常に刺激的で面白かった。 |
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