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万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)
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大江 健三郎
講談社
ISBN: 4061960148
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K内 :
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いっやーー久しぶりに、すごい本を読みました。
様々な時間におけるたくさんの事件が、続々と、続々と出てきて、フォローするのが大変でしたが、それらが終末において、ものすごい勢いで解きほぐされていきます。というより絡み合っていく。その、緻密さがすごいです。
出てくる事件とは、思いつくままあげると、万延元年の一揆、60年安保、戦後すぐの兄の殺害、妹の自殺、障害を持った子供の誕生、妻のアル中化、友人の縊死、、、等等。
とってもスケールの大きい推理小説としても、非常に楽しめる感じです。
しかも、内容においても、人間の根幹に迫る(?)ようなものでもあるのです。
たとえば、鷹四(主人公の弟)は、「本当の事」を考えているんですが、本当の事とは、「ひとりの人間が、それをいってしまうと、他人に殺されるか、自殺するか、気が狂って見るに耐えない反・人間的な怪物になってしまうか、そのいずれかを選ぶしかない、絶対的に本当の事(P258)」なんだそうで。「そういう本当の事を他人に話す勇気が、なまみの人間によって持たれうる」かどうか、と問うわけですよ。兄の蜜三郎に。
で、鷹四の言う「本当の事」とは一体何の事なのか?小説の中の、どの事件に関連してくるのか?鷹四自身のどんな行動、identityに結びつくのか?と、ね。いやーすごい。すごいんですわ。
講談社文芸文庫版の「著者から読者へ」で大江自身が
「この小説は僕にとってまことに切実な意味で、乗越え点をきざむもの」と書いているように、著者にもこの作品に相当な思い入れがあるようです。ね。
が、読むにあたって、僕の方が「乗越え」ないといけなかったこともありました。
まず、血や肉の生々しい描写があって、時々しんどくなりました。
それと、大江らしい難解な文体は、なれるまでずっとしんどかったです。主語と述語がやたら離れてるとか。関係代名詞とかないんだからさー、と。
以上。長くなっちった。
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最終更新 : 2006-08-13 12:06:34 +0900
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