アメリカの大学生むけの日本史の教科書として執筆されたこの本は、日本の近現代史を、より広い世界の近現代史と接続させながら俯瞰してみせる。
著者のアンドルー・ゴードンは、ハーバード大学の歴史学教授、専門は日本の労働運動史である。さらにライシャワー日本研究所の所長も務めているという点にも注目したい。
ゴードンの著名な功績のひとつに、いわゆる「日本的雇用制度」が、それまで欧米で言われてきたような日本の伝統的なお家芸ではなく、むしろ日本の近代が生み出したものだとする主張があることは知っておいてよい。cf. The Evlolution of Labor Relations in Japan : Heavy Industry 1853-1955
2006年10月に、みすず書房から 日本の200年〈上〉―徳川時代から現代まで ならびに 日本の200年〈下〉―徳川時代から現代まで というタイトルで邦訳が刊行される。じつはこれに先立ちハングル版と中国語版が既に刊行されているという事実から、この書がもつ戦略的要度を評価するひともいるだろう。
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