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定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー
定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー
著者: フランソワ トリュフォー, アルフレッド ヒッチコック
出版社: 晶文社
評価:
カテゴリ: 映画
コメント: <p><b>T</b>[トリュフォー] 要するに〈サスペンス〉と〈サプライズ〉のちがいとは何でしょうか。</p> <p><b>H</b>[ヒッチコック] サスペンスとサプライズのちがいは簡単明瞭だ。たしかに多くの映画がこのふたつの効果を混同しているが、ちがいははっきりしている。<br>  いま、わたしたちがこうやって話しているテーブルの下に時限爆弾が仕掛けられていたとしよう。しかし、観客もわたしたちもそのことを知らない。わたしたちはなんでもない会話をかわしている。と、突然、ドカーンと爆弾が爆発する。観客は不意をつかれてびっくりする。これがサプライズ(不意打ち=びっくり仕掛け)だ。サプライズのまえには、なんのおもしろみもない平凡なシーンが描かれただけだ。では、サスペンスが描かれるシチュエーションはどんなものか。観客はまずテーブルの下に爆弾がアナーキストか誰かに仕掛けられたことを知っている。爆弾は午後一時に爆発する、そしていまは一時十五分まえであることを観客は知らされている(この部屋のセットには柱時計がある)。これだけの設定でまえと同じようにつまらないふたりの会話がたちまち生きてくる。なぜなら、観客が完全にこのシーンに参加してしまうからだ。スクリーンのなかの人物たちに向かって、「そんなばかな話をのんびりしているときじゃないぞ! テーブルの下には爆弾が仕掛けられているんだぞ! もうすぐ爆発するぞ!」と言ってやりたくなるからだ。最初の場合は、爆発とともにわずか十五秒間のサプライズ(不意打ち=おどろき)を観客にあたえるだけだが、あとの場合は十五分間のサスペンスを観客にもたらすことになるわけだ。つまり、結論としては、どんなときでもできるだけ観客には状況を知らせるべきだということだ。サプライズをひねって用いる場合、つまり思いがけない結末が話の頂点[ハイライト]になっている場合をのぞけば、観客にはなるべく事実を知らせておくほうがサスペンスを高めるのだよ。(p.60-)
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