法隆寺を、穂積 和夫氏のイラストレーションで、宮大工の西岡 常一氏と宮上茂隆氏が解説していく、という絵本? です。法隆寺金堂を中心に、どうやって建てられたかを、順を追って描いています。
歴史的背景の解説もありますが、本筋は建てることです。まず、お堂を建てようと言う計画を立て終わると、建築そのものは基礎を作るところからはじまります。木を切り出し、かんなで削り、組んでいく。精緻だけど温かみのあるイラストレーションが、想像力を膨らませます。また、技法にも立ち入った正確な解説はさすが本職、です。飛鳥時代当時の技法が描かれていて、かんなは今の形じゃなくてやりのような形状のやりがんなを使ったり、堅い基礎を突いて造る、とか、物理的な構造上の解説もあり、瓦の作り方があったりともりだくさんです。
昭和に法隆寺の修復を行った、現場の発見も盛りこまれています。世界最古の木造建築なので、積み重ねられた時間が生々しい時の感覚を与えます。天井の板の裏には当時の職人の楽描きがあったりするのです。そういえば、周代のうるし棺に、同じように職人の指紋が残っていたりするのを見ると、いっきに3000 年の時を越えて人間が生きていた、という感覚を受けたのを思い出します。
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