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20世紀のエンジン史―スリーブバルブと航空ディーゼルの興亡

鈴木 孝
三樹書房
ISBN: 4895222837  紀伊國屋, Amazon, WebCat
カテゴリ 工学
評  価 A
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teltel :

著者は、もともと日野のエンジン技術をやっていた人なので、エンジンのプロです。他にも楽しそうなエンジンに関する本をいくつか著しています。この本は、最新技術についての話題でもないし、タイトルのようなエンジン史といった、ただ歴史とか事件を網羅した話でもありません。スリーブバルブエンジンとディーゼルエンジンについて、エッセーのように書いてあります。

特にスリーブバルブエンジンは、自分全く聴いたことがなく、こんな(今となっては)へんてこなエンジンがあったんだー、と目から鱗がおちました。

この本によれば、主流の4 ストロークエンジンはほとんどの場合、シリンダーのてっぺんにバルブと呼ばれる茸弁(茸のような形をしている)を使ってガソリンと空気の混ざった混合気を吸って(吸気)、排いて(排気)、をしています。ところが、スリーブバルブエンジンはこの茸弁がなく、穴のあいた筒状のスリーブをタイミング良く動かすことで、混合気の吸気/排気を行うのです。今となっては見かけないので、マイナーなエンジンかと思うとそうではありません。1909 にダイムラーが採用したスリーブバルブエンジン(写真) のように、一時期ブームになったりしています。 さらにその後、英国のウェリントン重爆撃機やホーカータイフーン/テンペスト/シーフェリー戦闘機にも使われていたりするのです。しかし、その後にはオイル消費料や、耐久性などの問題から採用されずに今日に至っているのです。他にもいろいろ話題があって、スリーブバルブエンジンとディーゼルエンジンから見たエンジンの世界が、実は綿々と現在のエンジンに繋がっているという、あながちエンジン史のタイトルも間違えじゃない内容です。

文章は推敲が足りないのか、編集が悪いのか、ちょっと読みにくいです。それでも、現場を見知っている人の言葉なので説得力もあるし、エンジン屋の興味の対象がどこにあるのか解って面白いです。

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最終更新 : 2006-05-14 13:29:03 +0900
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