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マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男
マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男
著者: マイケル・ルイス
出版社: ランダムハウス講談社
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 野球 ドキュメント
コメント:  オビのアオリをそのまま書き写せば「貧乏球団アスレチックスは,なぜ勝ち続けるのか? 小説ではぜったい書けない男たちの熱いドラマ。」 <BR>  アスレチックスというのはサンフランシスコの対岸,オークランドに本拠地を置くメジャーリーグのチームだ。日本人選手もおらず,「A's」という略称を見てニッポンの阿呆な国会議員が「アメリカはすごいな,エイズにかかったヒトのプロ野球チームがあるのか」と言った(知らないヒトは信じないかもしれないが実話です。次から真面目に選挙に行く気になりましたか?)時以来日本の新聞などでメインの話題になったことはない(と思う)。 <BR>  が,このアスレチックス,ここ数年の成績は抜群。本書に寄れば「ニューヨーク・ヤンキーズの1/3以下の年俸総額の選手達を使って,ニューヨーク・ヤンキーズ並みの成績を上げ続けている」。まさに奇蹟のチームなのである。これは,その「奇蹟」を可能にした元二流メジャーリーガーのジェネラル・マネージャー,ビリー・ビーンの哲学と思想(というほど形而上的なモンでもないが)を追ったドキュメンタリー。「野球」を徹底的に科学し,文字通りの意味での「勝利の方程式」を作り上げた男の物語である。 <BR>  オレの読後感を正直に吐露すると「横浜ベイスターズの関係者はみんなこれを読め,他のチームのヤツはお願いだから読まないでくれ」ということになる。あ,あと一言だけ,1998年我らがベイスターズの優勝監督・権堂さんが「送りバントというのはわざわざ敵にアウトを献上するという世にも馬鹿馬鹿しい作戦だ」と言っていたのはデータ的にも圧倒的に正しかったのだ。まだ遅くない,ダイちゃん,権堂さんの采配を思い出そう!<BR>
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メディア・リテラシーの方法
メディア・リテラシーの方法
著者: アート シルバーブラット
出版社: リベルタ出版
評価: ★★★★☆
カテゴリ:
コメント:  監訳者あとがきを引用すれば,「メディアは構成されたものであるという前提のもとに,イデオロギー,自分史,非言語的表現,神話分析の視点からメディアを読み解こう」とし,そうした「メディア製作のさまざまな方法や技法を明らかに」することを目標に書かれた一種の「教科書」である(各章末にレジュメというか復習ドリルみたいのもついてるし)。<BR>  例えばこんな話だ。「となりのサインフェルド」のようなコメディは,主要な登場人物が直面するささいな問題,人間関係の苦労などを扱う。ここには,「成功とは純粋に個人的満足によって測られるものだ」というメッセージが込められている。彼等の社会的活動はそうした個人的欲求の充足と人間関係の構築(あるいは修復)に限定された形でオーディエンスに提示され,しかもその解決方法としてたいていはスポンサーの意に沿った「消費主義的行動」が採用される。映画を観に行くとか,ショッピングをするとか,そうした行為により彼等の「今週の問題」は解決あるいは先送りされるわけだ。<BR>  この本が出色なのは,上のようなメディア作品の構造分析に加えて,それを構成する諸要素,例えば登場人物の表情や動作,容姿や服装から,音声コミュニケーションの諸要素にわたる詳細な考察がなされていることだ。例えば会話における声の大きさは権威や信念の表れとなりうるし,逆に小ささは不安感,服従,曖昧さなどを表現する。<BR>  いやはや,全てのメディアがこの本に研究されていることがらを全て応用してその出力(だんだん作品とは呼びたくなくなってくる)を製作しているワケはない,と思うものの,そんなコトまでと空恐ろしくなるような部分もある。対象をとらえるカメラ・アングルに意味があり,上から撮れば対象を弱く無力に,下から撮れば強さと権威を感じさせるくらいは知っていたが,その水平な移動方向にも意味があり,カメラが文字を読む方向(欧米では…このページもそうだけど左から右)に動く映像は安定を,逆は不安を醸しだすなんて知ってましたか?<BR>  まったく,誰かに読んでもらいたい,というより,ある種の連中にはあんまり読んでいただきたくないような本である。そう思ったのはオレだけぢゃないらしく,地味な学術書にも関わらずオビの文句もこう書かれている。「どなたさまのご用心! 政治家までこんなことお勉強しているんだって……」。確かにそれはヤバいかも。
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イヴの七人の娘たち
イヴの七人の娘たち
著者: ブライアン サイクス
出版社: ソニーマガジンズ
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 生物学
コメント:  かなり前のニュースだが,覚えているヒトもいると思う,ミトコンドリアDNAの分析から,現代人全ての「母」にあたる女性が15万年前のアフリカにいたことが判明し,彼女は当然ながら「イヴ」と名付けられた,という話だ。この本はあの研究を行った,オックスフォード大学人類遺伝学教授ブライサン・サイクスそのヒトが,その研究内容を一般向けに噛み砕いて解説したノン・フィクションである。<BR>  この研究のよすがである「ミトコンドリアDNA」とは,細胞質にあって人間の活動エネルギーを生み出す働きをしている器官である。このミトコンドリアのDNAには,他の遺伝子と違って母方からしか受け継がれないという便利な特徴がある。昔バラの育成シミュレーション・ソフトを書いた時に出て来た植物における「細胞質遺伝」というのと同じようなものだナ。おまけにこのミトコンドリアDNAは,約2万年に一度の割合で突然変異を固定することが分かっている。なので例えばこれを読んでいるアナタとオレのミトコンドリアDNAを比べて,その違いの数を数えれば二人の共通の先祖 (母系) までどのくらい遡れば到達するのか,だいたい万年単位でわかる,という寸法なんですね。<BR>  ……とは言え,それを実証するまでミチスジはもちろん平たんなものではなく,波乱万丈ヤマナカシカノスケなノン・フィクションになっている。なかでもワタシの心に残ったのは,かのヘイエルダール (こないだ亡くなった) が,コン・ティキ号で「実証」したポリネシア人の南米起源説がミトコンドリアDNAの研究ではっきりと否定されていたことである。これ,言葉は悪いがもっと宣伝すべきだと思うなぁ。まだまだ堅く信じているヒトが周りにたくさんいそうである。<BR>  結論として現在イヴの子孫には35の系列があることが判明している。このウチ東ユーラシア系はアメリカ系を含めて7系列ある。自分のDNAがどの系列かを知りたいヒトは,オクスフォードの研究所サイトに申し込むことができ,その<a href="http://www.sonymagazines.jp/mmt/200111080710">日本語インストラクション</a>がこの本の出版社,ソニーマガジン社に用意されている。やってみます?<BR>
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円の歴史―数と自然の不思議な関係 (Kawade new science)
円の歴史―数と自然の不思議な関係 (Kawade new science)
著者: アーネスト ゼブロウスキー
出版社: 河出書房新社
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 数学
コメント:  ペンシルバニア工科大学の教授,アーネスト・ゼブロウスキーの書いた数学の啓蒙書(?)。πの正体,その探究の歴史から筆を起こし,最終的には「なぜ数学で自然を記述できるのか」という疑問を解きあかす12章,約270ページ。いやぁ,この本は面白いす。
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知って合点 江戸ことば (文春新書)
知って合点 江戸ことば (文春新書)
著者: 大野 敏明
出版社: 文藝春秋
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 歴史 民俗 言語
コメント:  オレはもともとこのテの話が大好きでよく読むんだが,これもまた目からウロコがボロボロと落ちる面白本,最近の流行で言えば「へぇ」連発でありました。以下オレが「ヘぇ」を発したヤツを2つばかし……。<BR>  (1)「男はつらいよ」で寅さんがいう「タコ社長」の「タコ」は江戸弁では「ばか」の上を行く罵倒語なんであり,その由来は「イカ」だったのだ。……これぢゃなんだか分からないか,将軍の家来には旗本と御家人という2種類があった。もちろん旗本の方が上(身分は大名と同格)なんだが,その区別は将軍に謁見できるかどうかであり,それが許されない御家人達を「お目見得以下」と読んだのだそうだ。旗本の子供は御家人の子供を馬鹿にして「以下」と呼ぶ。「イカ」と罵られたら「タコ」と言い返すしかないぢゃないか。なので,「タコ」というのは「目上のニンゲンを罵って言う罵倒語」なのである。寅さんもあれでタコ社長の方が自分より偉いとは思っているのである(ホントか?)。<BR>  (2)「旦那」も元々は上の旗本,御家人の違いから産まれた言葉なのだ。江戸後期,市場経済の発達に伴って昇給のない武士の生活は相対的に苦しくなり,買い物に行く下女なども雇えなくなって「御用聞き」というシステムが発生した。その御用聞き達は旗本の家では主を「殿様」と呼び,御家人の家では差を付けて「旦那様」と呼んだのである。やがて明治維新が起こり,山の手が薩長出の官員(新政府の役人)で溢れた時,江戸の商人達は彼等を御家人と同格と看做して「旦那」という言葉を使い,田舎者の役人はこれを尊敬語だと思って喜んだ,という話なんですよ,旦那。知ってましたか?
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からくり民主主義
からくり民主主義
著者: 高橋 秀実
出版社: 草思社
評価: ★★★★☆
カテゴリ: ドキュメント 社会
コメント:  一読して,ようようこういうことを専門にルポするヒトが出て来たか,と思った。以前,シグマ計画のてん末について「SPA!」の取材を受けた(なんでオレが?とはオレも思ったけどね)時に同じような話をしたのだが,自分の専門分野のことが新聞や雑誌に取り上げられた時に感じる隔靴掻痒感や非現実感みたいなものって,きっとどの業界のヒト,どの事件の当事者にも共通しているコトなのだと思うのだ。<BR>  オレたちは「シグマ計画」について「こいつらあほか」と思ってたし,防衛庁のシステムの開発チームにオウムの子がまぎれこんでいた事件の時には「なんで騒ぐねん,いて普通やんか」と話し合ってた。同じように「報道される米軍基地問題」と地元のヒトの見ている現実は違うものだし,若狭湾原発銀座に住む「事故報道に不安を隠せない」はずのヒトビトの本音は「たまに事故が起って反対派が騒がないと補助金が減る」だったりするんである。<BR>  まぁありがちな表現を使えば「ニッポンの建て前と本音」つうことなんだが,今まで「そういう構造」について書くヒトというのはあんまりいなかった。「ゲンパツは危険ですコレデイーのか?」「諫早湾でムツゴロウが死んでいますコレデイーのか?」「統一教会のマインドコントロールは親から子を奪いますコレデイーのか?」……てなぐあいに,このテの問題に対するアプローチというのはたいてい「個別の問題に対する真正面からの告発」であり,「これがゲンジツです,これでイーのか?」と問うものだったのだ。<BR>  この本の著者・高橋さん(オレと同年なのだ)は,上にあげたような現場に「えらく遅れて」取材に行く。新聞やテレビや週刊誌の取材が帰ってさらに1年も経ったあとで取材に行くのだ(本人はいつも「出遅れる」と書いている)。そして当事者のみなさんと「世間話」をする。するとそこにはもともとそこにあった問題ではなく,それが「報道」というフィルタをどう通って行き,問題自身をどう変質させていったか,が見えてくる。で,その構造が同じなんですね,みんな。そして,そのフィルタの外側,つまり報道を通した結果としてオレタチが見るものは「からくり民主主義」なんである。どっとはらい……というべきか(笑)。
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死んでいる
死んでいる
著者: ジム クレイス
出版社: 白水社
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 小説 イギリス
コメント: hello makakas http://pitecan.com/Bookshelf/A4D9/4560047197.html|http://www.hondana.org/programs/write.cgi|shelf=べ*h|category=小説,イギリス|score=★★★★☆|isbn=4560047197*h|comment=hello makakas http://pitecan.com/Bookshelf/A4D9/4560047197.html|
関連本棚: Twitter読書会
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かがやく日本語の悪態 (新潮文庫)
かがやく日本語の悪態 (新潮文庫)
著者: 川崎 洋
出版社: 新潮社
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 俗語
コメント:  悪態……悪態って分かるよね? 阿呆とか馬鹿とか間抜けとか,ボケ,尻青,たわけ,おたんこなす,デレ助,オカチメンコ,逆ボタル,脳足りん,すっとこどっこい,唐変木,スカタン,田子作,ウスラトンカチ,ウンコたれ,お前の母ちゃんデーベソと……つまりは口げんかで使う罵り言葉である。<br>  この本は詩人にして日本語の研究者でもある著者が,落語や色里言葉,方言など各方面から取材して集めた,実際に使われている(いた)日本語の悪態の集大成である。なるほどこうしてまとめられた古今東西の悪態を並べてみると,巻頭で著者が嘆いておられる通り,最近の流行の悪態は語呂合わせや短縮形が多くてあんまり芸がない。口げんかで互いにストレスを発散できず,内に溜め込んである日ナイフを振り回すって世相はちゃんと言葉にも影響しているのだなぁと。<BR>  ま,正面切って「次世代に語り伝えよう戦争体験」みたいなわけにはいかぬにしても,「宇治むら」なんてオツな作りの隠語は知っていると楽しいし,「酢豆腐」とか「権九郎」みたいに裏に一個の物語を背負った言葉は知ってるだけでそれ日本文化への造詣ということになるわけだしね……。<BR>  ところで一個だけこの本に異論。124ページに出て来る「男はつらいよ〜寅次郎紅の花」のリリー(浅丘ルリ子)の悪態「口ほどにもない臆病者で,つっころばしでぐにゃちんで,とんちきいのオタンコナスだってんだよ」の中の「ぐにゃちん」は「山田洋次監督の造語なのかぐにゃぐにゃしたオタンチンという語感を覚えます」なんてもんぢゃなくて,単なる★◎♪▼♂だと思いますけど(笑)。
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魚籃観音記 (新潮文庫)
魚籃観音記 (新潮文庫)
著者: 筒井 康隆
出版社: 新潮社
評価: ★★★★★
カテゴリ: 日本 小説
コメント:  1997年から2000年にかけて,主に新潮社の雑誌に掲載された作品を集めた短編集 (なぜか一つだけ文芸春秋の「オール読物」掲載作品がはいっている,なんで?) 。<BR>  なんと言っても圧巻は表題作,孫悟空と観音菩薩が姦るという「ポルノ西遊記」である。帯にも「発禁覚悟」とあるがこれはスゴイ。まさに天才筒井康隆の面目躍如,作品中,男性器を表す単語だけで,陰茎,ちんぽこ,ペニス,逸物,陽根,男根,錫杖,珍棒,陽物,魔羅,へのこ,棍棒,男性自身,肉茎,肉棒,一物,大砲,珍宝,巨根,松茸,&lt;b style="color:black;background-color:#ffff66">デチ棒</b>,コック,こね棒……はぁはぁ,こんだけあり,それらがまた適材適所 (笑) ,こーふんするぞ,これは。<BR>  だいたい筒井作品のセックス・シーンというと,大概のヒトが「エディプスの恋人」のあのシーンを想起するらしいのだが,あれはあんまりエッチぢゃない。個人的意見としていままでのベストは「残像に口紅を」の第二部,世界から「あ」と「ぱ」と「せ」と「ぬ」と「ふ」と「ゆ」と「ぷ」と「べ」と「ほ」と「め」と「ご」と「ぎ」と「ち」と「む」と「ぴ」と「ね」と「ひ」と「ぼ」と「け」と「へ」と「ぽ」と「ろ」と「び」と「ぐ」と「ぺ」と「え」と「ぜ」と「う゛」と「す」が消え失せたあとで行われるそれであったが,この「魚籃観音記」はあれにまさるとも劣らない。むしろあれの「饒舌バージョン」とでも言うべきか。<BR>  他の短編では「粗忽電器屋」とでも言うべき「作中の死」が面白い。鼠や犬猫 (が主人公の小説もこの本にはあるのだが) ではなくニンゲンの行いを小説という形で描く以上,意識してあるいは意識せずに身辺の誰彼をモデルとして書くことはどんな作家でもするだろう。が,その行為自体に着目し,思索し,こうした短編にまで昇華するのはやっぱり筒井さんならではという気がする。かなり印象は違うがこれは「虚人たち」の系譜に連なる作品だと思う。<BR>  なお,当然というかオレはこの本を単行本で持っているのだが,そのISBNをAmazonで検索したところ不本意ながら文庫本しか出なかった。文庫を出したらもう単行本は印刷もしないのだろうか。なんだかなぁ。
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ソフトウェア職人気質―人を育て、システム開発を成功へと導くための重要キーワード (Professional Computing Series)
ソフトウェア職人気質―人を育て、システム開発を成功へと導くための重要キーワード (Professional Computing Series)
著者: ピート マクブリーン
出版社: ピアソンエデュケーション
評価: ★★★★★
カテゴリ: ソフトウェア・エンジニアリング コンピュータ
コメント:  この本には猛烈に感動した。……なんというか長いことプログラミングに関する原稿でワタシが言い続けて来たアレコレが,もっとちゃんと体系付けられ,学問的に通用しそうな言い回しで語られている,「そうだよ誰かがこういう本を書かなくちゃウソだよ本」なのである。<BR>  もうホンマ,溜飲が下がるというかもっと言ってというか我が意を得たりというかそういう記述の連続で,ときおり本を膝の上に伏せてはああ,オレは間違ってはいなかったぜ,と感慨に耽ることもしばしばだ。たとえば:<BR>  ●資格制度は幻想である。<BR>  ●素晴らしいソフトウエアには署名がある。<BR>  ●ソフトウエア職人は下働きではない。<BR>  ●優れた開発者は管理者よりも価値が高い。<BR>  ●低予算でソフトウエア工学を実行することはできない。<BR>  ●ソフトウエア工学は個人というものを忘れさせる。<BR>  ●ソフトウエア職人は計画的陳腐化と戦う必要がある……。<BR>  おお,こうやって目次から小題のいくつかを書き写すだけで,中身を逐一ここで説明したくなる,腰を据えてじっくりと論じたくなる,一杯やりながらバカ話のネタにしたくなるぞ,なるんですよ旦那(旦那って誰だ?)。
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一人の男が飛行機から飛び降りる (新潮文庫)
一人の男が飛行機から飛び降りる (新潮文庫)
著者: バリー ユアグロー
出版社: 新潮社
評価: ★★★★★
カテゴリ:
コメント:  不条理と言えば不条理,脈絡がないと言えば脈絡がなく,悪夢だと言われればそうかもしれない,と思わせるようなごく短い話が149編納められたなんとも変わったテイストの本。著者のユアグローは南アフリカ出身,現在はアメリカに住んでいる。70年代からこのテの作品を発表,80年代にはMTVとかで自作短編の朗読とかもやっていたらしい。<BR>  で,このテイストをなんとか真似できないもんかと<a href="http://snakehole.air-nifty.com/yourgrau/">ゆあぐろ風</a>というblogを立ち上げてみました。興味があればご笑覧あれ。
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松山巌の仕事〈2〉手の孤独、手の力 (松山巖の仕事 2)
松山巌の仕事〈2〉手の孤独、手の力 (松山巖の仕事 2)
著者: 松山 巌
出版社: 中央公論新社
評価: ★★★★★
カテゴリ: 文芸評論 文化論
コメント:  どの文章をとってもながながと感想を書きたくなる本なのだが,なかでも室生犀星の「雀」という短い詩から筆を起こす「詩のなかの住まい,詩のそとの家」という一編が素晴らしい。この詩から,松山氏は今は亡き中上建次のことを思い出す。彼が生前,谷崎潤一郎の著明なエッセイ『陰翳礼讃』を評して「あれは負け惜しみだな」と言った,というのである。谷崎のこのエッセイは,日本の美の極地は陰翳の中にこそあるという主旨のモノだが,松山氏はかねてからこの論からアール・デコを連想していたので,中上の指摘に驚き感心した。<BR>  谷崎が陰翳に映えるものを良しとするのは,照明が進歩して明るくピカピカしたものが増えたからだ。そして松山氏は,アール・デコというデザインもまた,そのような感性の産物であるといい,これを日本の伝統的な美というのは退廃が過ぎるのではないか,と考える。また,彼の見るところ,中上建次の視点はまた違い,西欧文化が移入され家屋も明るくモダンになる中で闇や陰翳をことさら採り出して礼讃する態度に,時代の進歩について行けぬ老人谷崎の「負け惜しみ」を感じたのだろうという。<BR>  そして話は室生犀星に戻ってくる。ここには負け惜しみはない。退廃的な美もない。ここにこそ「日本の美」はあるのではないか,としめくくる。「雀」に続いて同じ詩集『日本美論』から,「隣史」,それに「傾く家」が引用されている。この「傾く家」には鳥肌が立つぞ。日本を紹介するガイドブックに載るようないわゆる「日本の美」を詩人は歌っていない。そういうものではなく,これを「日本の美」と捉えた犀星を私は日本人として誇らしく思う。<BR>
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『坊っちゃん』の時代―凛冽たり近代なお生彩あり明治人 (アクションコミックス)
『坊っちゃん』の時代―凛冽たり近代なお生彩あり明治人 (アクションコミックス)
著者: 関川 夏央
出版社: 双葉社
評価: ★★★★★
カテゴリ: 日本人論 マンガ
コメント:  関川夏央・谷口ジローのコンビが実に12年をかけて「近代日本の青春,明治」を描いた漫画シリーズ。 <BR>  第一部「坊ちゃんの時代」で漱石,第二部「秋の舞姫」で鴎外,第三部「かの蒼空に」で啄木,第四部「明治流星雨」で秋水,そして最後の第五部「不機嫌亭漱石」で再び漱石を中心に描かれているが,それら「主人公」はあくまで各々の時代,事件を語る狂言回しとしての役割を担っておるに過ぎず,あたかもバルザックの「人間喜劇」のように総体をもって日本にかつてあった「明治」という時代を描いている。 <BR>  いやいや,これは傑作です。読むべし。 <li> <a href="/%E5%A2%97%E4%BA%95/4575712299">文庫判</a>もありますね。(<a href="/%E5%A2%97%E4%BA%95">増井</a>) <li>ほう,文庫が出てるの? 揃えることをお勧めしますね。ヘタな明治本よりよっぽどタメになると思います。
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妖星伝 (1) (講談社文庫)
妖星伝 (1) (講談社文庫)
著者: 半村 良
出版社: 講談社
評価: ★★★★★
カテゴリ: 日本 小説 SF 伝奇
コメント:  半村良が実に20年の歳月を費やして完成した伝奇文学の最高峰。<BR>  我が国において,古来「神道」と対極にあったとされる「鬼道」,その信徒たちは皆超能力を持ち,破戒仏を尊み,戦乱と流血の影に暗躍して来たという。江戸は飢饉,腐敗の田沼時代,伝説の統率者にして不死身の存在「外道皇帝」が再臨するという……。<BR>  うう,これ以上なにを言えよう。読む者の宗教観,世界観,生命観,倫理観,宇宙観をもひっくり返す空前絶後の力業。日本語が読めるなら,「妖星伝」を読まぬうちに死ぬな。
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蟻の革命―ウェルベル・コレクション〈3〉 (角川文庫)
蟻の革命―ウェルベル・コレクション〈3〉 (角川文庫)
著者: ベルナール ウェルベル
出版社: 角川書店
評価: ★★★★★
カテゴリ: 小説 SF
コメント:  「蟻」トリロジーの最終巻である。1995年に最初の「蟻」が,96年に「蟻の時代」が刊行されてから待つこと実に7年,出版元も変わって文庫本での最終巻はちと悲しいが(「蟻」「蟻の時代」は上下2巻の単行本で持っているのだ),それでもこれを読めたことの幸せを素直にかみしめたい。いやぁ人生へのココロノコリが一個減った(いやまだ山ほどあるんだけどね)気分である。<BR>  シリーズ全部について解説すると長くなるのだが,このトリロジーはつまりニンゲンとアリという,共にこの地球上で社会生活を営む2種の生き物の邂逅と対立,そして共生の可能性についての物語である。フランスの郊外都市フォンテーヌブローを舞台に森に住む赤アリたち,そして彼らとのコミュニケーションに成功したニンゲン達が主人公だ。<BR>  この完結編では,森の中で謎の本「相対的かつ絶対的知の百科事典」を拾った拒食症の少女ジュリーと,ニンゲンと共に暮らしニンゲンの文化について深い知識を身につけた赤アリ103号とが合わせ鏡のように「蟻の革命」と「指(アリ達はニンゲンをこう呼ぶ)の革命」を推進する。ニンゲンたちは高校に立てこもって理想社会を作り上げようとし,アリたちは火の使い方を覚えカタツムリに乗って指との「コンタクト」にやってくる。いやぁ読み終わってしまったのが惜しい。まだ読んでないヒトが心底うらやましいぞ。<BR>
関連本棚: 勇魚
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シティ
シティ
著者: アレッサンドロ・バリッコ
出版社: 白水社
評価: ★★★★★
カテゴリ: 小説
コメント: hello makakas http://pitecan.com/Bookshelf/A4D9/4560047413.html|http://www.hondana.org/programs/write.cgi|shelf=べ*h|category=小説,イタリア|score=★★★★★|isbn=4560047413*h|comment=hello makakas http://pitecan.com/Bookshelf/A4D9/4560047413.html|
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職人学
職人学
著者: 小関 智弘
出版社: 講談社
評価: ★★★★★
カテゴリ: 文化論 技術
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食糧棚
食糧棚
著者: ジム クレイス
出版社: 白水社
評価: ★★★★★
カテゴリ: 小説 イギリス
コメント:  ジム・クレイスの短編集,いや掌編集というべきか。訳者によるあとがきによれば,著者はイタロ・カルヴィーノの「見えない都市」,プリーモ・レーヴィの「周期律」および,ある民話(そのストーリーもあとがきには紹介されているが長くなるので割愛する)にインスピレーションを得て本書を執筆したそうで,話の数はチェス盤(その民話にはチェス盤が出て来るのだ)の升目と同じ64,全ての話が食べること,食べものを主題にしている。<BR>  それぞれの話は全く独立しており,ショート・ショート風にオチのあるものあり,ないものあり,詩のように音読して楽しめる(翻訳でも)ものあり,音読以外では楽しめそうもないものあり,と実にバラエティゆたか。だがどの話もどこかに一本,クレイス波というかクレイス節というか,幸福の背骨に沿ってただひとすじ流れる冷や汗のような悪意というか無気味さみたいなものが添加されており,読み進むにつれてそのなんとも嚥下し難い余韻だけが蓄積されていく構造になっている。<BR>  読んでいる最中,「一人の男が飛行機から飛び降りる」のバリー・ユアグローを思い出したが,ユアグローの短編が(本人がそう思っているかどうかは知らないよ),無意識に潜む不条理を不条理の形のまま文章に掬い取ろうとしたものだとすれば,クレイスのこれらの掌編は食べるという行為の根源にある野蛮が,我々の文化によって隠蔽され隠蔽され隠蔽されてなお垣間見えてしまうその瞬間を文字で切り取ろうとしたものだと言えるかもしれない。遠い昔井上陽水がインタビューに応えて言っていたように「ものを食べているところをヒトに見せるもんぢゃない」のだ。
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エノケンと“東京喜劇”の黄金時代
エノケンと“東京喜劇”の黄金時代
著者:
出版社: 論創社
評価: ★★★★
カテゴリ: レビュー
コメント:  オレは1961年生まれなので当然その全盛時代を知る由もないわけだが,あの筒井康隆をして「子供の頃ボクはエノケンになりたかった,『エノケンのように』ではなくて,エノケンそのものになりかったねぇ」と言わしめた『喜劇王・エノケン』,その片鱗くらいは知っておかねばと出演映画が放送されれば録画・鑑賞に務めている。昨年11月に江戸・東京博物館が行った特別企画「エノケン生誕100年記念映画祭」には「エノケンの千万長者」を観に行ったし……。<BR>  が,この本を読むとやっぱり「最高のエノケン」は映画ぢゃなくて舞台なのだと書いてある。もちろん執筆者の人たちはエノケン・ファンが嵩じて「東京喜劇研究会」なんてのを作っているわけで思い入れたっぷりなのは織り込み済みなんだが,しかしまぁ実に面白そうなんだよね。<BR>  『世界珍探検』(原作はカミ)では,南方で人食い人種に捕まった探検家のエノケン,縛り上げられて火あぶりにされるというところで肝心の酋長が出てこない。しばらく芝居を繋いだあと,エノケン自ら縄をほどき,舞台の袖に入るや「酋長はどうした! てめえなんかクビだこの野郎!」と叫び,しょんぼりした酋長を引っ張り出して来て客席にニヤリ……これは見たいよなぁ。<BR>
関連本棚: のらねこ兵☆演芸館 stonechild
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帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕
帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕
著者: エマニュエル トッド
出版社: 藤原書店
評価: ★★★★
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コメント:  アフガン,イラクとヤリタイ放題でいよいよ世界を統べる帝国たらんとしているかに見えるアメリカであるが,彼の国が真に世界帝国になりうるチャンスはとうに失われたのであり現在はその崩壊の過程にある,というフランス人歴史学者の挑発的分析の書である。 <BR>  まず,ソ連の崩壊以降世界は安定へと向かっているという基本認識が語られる。第三世界では未だイデオロギー的,もしくは宗教的熱病の発作のような争乱が見られるけれども,全体の傾向として発展と民主主義の確立へと漸進している……。ところがそうした方向を喜べない国が世界に一つだけある。それがアメリカ合衆国なのである。 <BR>  例えば今話題のイラク新法,もし北朝鮮が攻めて来たら(毎日餓死者を出してるようなクニがほんとに攻めて来られると思ってるヒトがいるのはワリと驚きなんだが)アメリカさんに守ってもらわなくちゃならないんだから賛成しなくちゃ,と言うヒトが結構いる。裏を返せば北朝鮮と仲良くできれば死ぬかもしれないイラクくんだりに我等が自衛隊を送る必要はないのであり,そうなると困るのは日本ではなくてアメリカだ。だからアメリカは軍事的に比較すればとるに足らないイラクやキューバ,北朝鮮を「悪の枢軸」と喧伝する。ヤツラと闘う正義のアメリカの言うことを聞け,というわけだ。 <BR>  著者の分析では,そろそろアメリカのこの論理に基づく「演劇的小規模軍事行動主義」(ブッシュの言う「テロリズムとの戦い」の上の文脈による言い換え)の底が割れて来ている,ということになる。今回のイラク攻撃に関しても,アメリカにとって「欧州にある保護領」であるドイツが公然と異を唱えた。「極東の保護領である日本もいずれ……」という期待はいささか買いかぶりぢゃないかと思うが,ともかく今や「消費しかできない世界の略奪者」たるアメリカの崩壊は歴史の必然だという分析には,賛否はともかく一読の価値があろう。
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