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殺意をえがく子どもたち―大人への警告
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著者: |
三沢 直子 |
出版社: |
学陽書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
描画テストをベースにした児童精神分析の書。テレビゲームやチャットを初めとした疑似的世界について、再考を迫る一冊。 |
関連本棚: |
平蔵
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シンガポールから学んだこと
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著者: |
小竹 裕一 |
出版社: |
明石書店 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
筆者は、今はなきシンガポールの南洋大学の留学経験者。ちなみに、南洋大学とは、シンガポール政府から冷遇されたあげく、半ば強引にシンガポール大学に吸収された華語大学である。シンガポール大学留学経験者によるシンガポール読本はそれなりにあるのだが、南洋大学留学を起点とするものはなかなか貴重である。シンガポールと日本の公教育をめぐる対談は、論点が全くかみあっておらず、ある意味面白かった。 |
関連本棚: |
平蔵
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原発を見に行こう―アジア八ヵ国の現場を訪ねて
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著者: |
上坂 冬子 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
日本の原子力発電の重鎮とめぐるアジア各国の原発レポート。技術面から原発に迫ることを放棄し、政治・経済面に絞って原発に迫るという潔さを大いに評価したい。日本の原発事業のウェイトの重さを客観的に確認できる、絶好の書である。<br>
上坂氏もさることながら、同行の重鎮たちがそれぞれ個性的で、どたばた珍道中記という趣。それにしても、この原発ツアー、恐るべき強行軍ですな…。 |
関連本棚: |
stonechild-2
平蔵
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明日は明日のカキクケコ
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著者: |
敷村 良子 |
出版社: |
マガジンハウス |
評価: |
★★ |
カテゴリ: |
現代小説
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コメント: |
背水の陣の大学受験に失敗し、一転、東京でコピーライターを目指すことになった女の子の物語。私小説的な香りが濃厚である。主人公がうじうじした性格なので歯がゆいのだが、このうじうじしたところが青春小説という気がしないでもない。 |
関連本棚: |
平蔵
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本の運命 (文春文庫)
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著者: |
井上 ひさし |
出版社: |
文藝春秋 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
エッセイ
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コメント: |
井上ひさしさんと本との関わり方は、徹底的で清濁併せ呑むという印象がある。それでもどこか粋なのだ。本を置きすぎて床が抜けたとか、凡人には実践できそうもないエピソードが素敵。 |
関連本棚: |
針鼠文庫
stonechild
平蔵
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バルト海のほとりにて―武官の妻の大東亜戦争
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著者: |
小野寺 百合子 |
出版社: |
共同通信社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
最近復刊したようで、書影が出るようになりました。万歳!<br>
ムーミンシリーズの翻訳者として著名な小野寺氏の、自身の体験をつづった書。海外に赴任した高級将校の生活を妻の立場から描いたという意味で、相当に貴重なノンフィクションでもある。バルト三国の豊かな文化と誇り高さ、同時に、大国の狭間で生きざるを得なかった弱小国家としての悲哀が感じられる。小国ゆえにソビエトに蹂躙される、バルト三国の悲しい運命は、読んでいて切ない。 |
関連本棚: |
stonechild
平蔵
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闇の傀儡師
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著者: |
藤沢 周平 |
出版社: |
文藝春秋 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
時代小説
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コメント: |
舞台は徳川十代将軍家治の治世。幕府に恨みを抱く謎の徒党・八嶽党と、それを利用せんとする幕閣重鎮の思惑。しっとりとした士道小説も良いが、こういう伝奇小説も面白い。 |
関連本棚: |
平蔵
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バルト海のほとりにて―武官の妻の大東亜戦争
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著者: |
小野寺 百合子 |
出版社: |
共同通信社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
ムーミンシリーズの翻訳者として著名な小野寺氏の、自身の体験をつづった書。海外に赴任した高級将校の生活を妻の立場から描いたという意味で、相当に貴重なノンフィクションでもある。バルト三国の豊かな文化と誇り高さ、同時に、大国の狭間で生きざるを得なかった弱小国家としての悲哀が感じられる。小国ゆえにソビエトに蹂躙される、バルト三国の悲しい運命は、読んでいて切ない。 |
関連本棚: |
平蔵
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夜夢
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著者: |
柴田 よしき |
出版社: |
祥伝社 |
評価: |
★★ |
カテゴリ: |
現代小説
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コメント: |
ホラー短編集。どの話も作者が「作りこんだ」感触があって、どれもいま一つ印象に残らなかった。「ゆび」のような話を書ける人なので、ホラーに向かない作家というわけではないと思うのだが…。 |
関連本棚: |
平蔵
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子どもよりも親が怖い―カウンセラーが聞いた教師の本音 プレイブックス・インテリジェンス
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著者: |
諸富 祥彦 |
出版社: |
青春出版社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
学力低下問題については昨今マスコミも喧しいが、その前段にある教師・保護者・生徒(児童)の質的変化も負けず劣らず深刻な問題だと思う。中でも、保護者の意識の変化と言うのが気になったため、本書を手に取った。生徒の質の変化を、その親の世代の問題とも絡めて考察した序章及び一章は、大変示唆に富む。「悩む力」が減退しているという指摘には、どきりとする。<br>
惜しいのは、紙数の制限があるため(新書だからしょうがないのだが)、各論がエッセンスの抽出となってしまっていること。できれば、この3倍くらいのページ数で、より詳しく筆者の考察を読みたい。 |
関連本棚: |
stonechild-2
平蔵
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梅咲きぬ
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著者: |
山本 一力 |
出版社: |
潮出版社 |
評価: |
★★ |
カテゴリ: |
時代小説
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コメント: |
時代小説の巧拙は、薀蓄を少なくして、いかに読者を小説の舞台にいざなえるかにかかっていると思う。その点からすると、この小説は少々薀蓄の披露が過ぎて興ざめ。江戸・深川町人の心意気を描きたいという作者の意気込みはわかるんですけどね。物語の筋は決して平板なわけではないのだが、物語の焦点が主人公ではなく、深川にあたっているせいか、どこか散漫な印象を受ける。深川に焦点を絞るなら、長編ではなく連作集にすべきと思うのだが。 |
関連本棚: |
平蔵
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ハーレムの女たち
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著者: |
澁澤 幸子 |
出版社: |
集英社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
謎のベールに包まれている、オスマントルコのハーレムの物語。オスマントルコと言えば、世界史の中でも屈指の版図を持った大帝国。その権力に密着するハーレムの人間模様、面白くないわけがありません。
それにしても、オスマントルコ史って、知っているようで知らないなあと反省。どなたか、文化や風俗を織り交ぜて、オスマントルコ史をわかりやすく書いてくれないものでしょうか。 |
関連本棚: |
平蔵
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ソウルは今日も快晴―日韓結婚物語 (講談社文庫)
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著者: |
戸田 郁子 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
90年代はじめに渡韓し、韓国人男性と結婚した著者のソウル嫁物語。著者は、語学堂(韓国の大学付設の語学学校)→大学留学→韓国で就職という、ある意味「正統」なルートで韓国と接した女性。最近は韓流ブームのあおりでこの手の本にも事欠かなくなったが、それだけに、真摯に異文化と向き合う著者の文章に好感が持てる。茨木のり子さんの<a href="/%E5%B9%B3%E8%94%B5/4022605448">ハングルへの旅 (朝日文庫)</a>などもそうだが、超マイナー言語(失礼!)だった頃の韓国語を学んだ人の本は読み応えがある。 |
関連本棚: |
平蔵
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ハングルへの旅 (朝日文庫)
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著者: |
茨木 のり子 |
出版社: |
朝日新聞社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
エッセイ
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コメント: |
詩人として著名な茨木のり子氏が、韓国語に触れ、韓国語を通して韓国文化に触れた体験をつづったエッセイ集。鋭い言語感覚を持つ人のエッセイだけに、韓国語に対する洞察の深さも並大抵ではない。ちなみに、筆者が韓国語を学び始めたのは、なんと50代になってからだとか。<br>
実はこの本、大学時代の私の朝鮮語学習座右の書でもあります。この中で出てくる韓国の諺「はじまりが半分だ(シージャニ パニダ:さあ始めようと思い立ったときからもう、ことの半分は成就している)」には、随分励まされた記憶あり。 |
関連本棚: |
平蔵
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山河寂寥―ある女官の生涯 (下)
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著者: |
杉本 苑子 |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
藤原氏の権勢を磐石のものとした藤原良房、その養嗣子基経、そして基経の異母妹にあたる藤原淑子。類まれなる才覚を持つ女性・藤原淑子の生涯を丁寧に描いた、良質の歴史小説。男性のイメージが強い藤原氏だが、個性豊かで聡明な女性も多数存在していたことが再認識できる。若くして死んでしまったため、小説の中での扱いは大きくなかったが、淑子の同母姉もまた、優れた政治バランスを持った人物だったのではないかと思う。
良房と基経も、老獪でありながらどこか人間くさい権力者として描かれていて、嫌味がない。淑子の最期の描写は無常観漂うものだったが、これだけ自分の意志を通した生き方ができたのであれば、人生に悔いはないと思うのだが、如何だろうか。 |
関連本棚: |
日和見
平蔵
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龍あらわる 中華怪有篇
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著者: |
西村 康彦 |
出版社: |
文藝春秋 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
エッセイ
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コメント: |
中国美術史の専門家であり、中国「筆記」の博学である西村康彦氏のエッセイ。十年ぶりの再読。「いか墨奇聞」や「龍あらわる」は、硬軟問わず、古今の中国の書物を渉猟した筆者ならではのエッセイと言えるだろう。再読して実感するのは、漢文に親しんだ人ならではの語彙の豊かさ。やっぱり漢文の素養は大事ですな。 |
関連本棚: |
stonechild
平蔵
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