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面白いよ。
メートルが地球の円周の1/4000万で、それをはかって決めた人がいるというのは、大昔に子ども向けの本で読んだ記憶があるけれども、それが、決して単純な話ではなかったのははじめて知った。
でも、それ以上に面白かったのは、当時の(フランスに限らず)度量衡のシステムは人間の生活に基づいて決まっていたことで、例えば土地の面積でも、ある長さの平方というセンスではなく、ある収穫量を与える面積(それ故に、やせた田土地ではおなじ評価でも今日的な意味の面積は大きい)とか、鉱夫が1日に掘り出せる量の1/12という風に定まっていたという話。あるいは、地域ごとの度量衡は、その地域内の生活に公平をもたらすように定まっていたという話。経済がそれぞれに閉じている倍には、それでOKで皆幸せだった。だけど、交流が始まって、国が経済圏になると、共通の度量衡が必要になり、その文脈の中で共通尺度が意味を必要になるということ。
16世紀文化革命では、聖書の各国語訳により標準となる各国語ができて、それがその国のアイデンティティーに効いているという話が出てきたけれども、それと同じように、度量衡も世の中をまとめるのに関連しているということは、言われるまでは、まるで思いついてもいなかった。
さて、振り返るに、ネットによりある意味、文化圏が拡がりつつある訳で、その時に何が共通化され、そして、どんな地域文化が失われるのだろう。そういったことも考えさせてくれる本である。 |