なんぶん昔の本なので、技術やソフト的には時代に合わないが、自分にとって使いやすいメモの道具の追求ということでは、いまだ満足できていない。
●メモの技術 97/09/05
パソコンでメモを整理する。コンピュータなんだから、そんなもん簡単におもえるが、そうはいかない。自分でデータベースを作ろうとした人なら判ると思うが、設計も大変なら、データの入力も大変、メンテナンスも大変なのだ。
ノンフィクション作家として、取材や調査などメモを大量に取る著者が、それまでの紙メディアの京大式カードの限界から、パソコンでのメモデータベース構築の試行錯誤を書いている。
この本で紹介されている著者のデータベースは、JUST SYSTEMのDOSベースの「五郎」というデータベースである。ソフトも古いし(五郎はWin95版が出るようだ)、別にフロッピーでテンプレートがついているわけでもなく、マクロのリストが出ているわけでもない。そのまま使える物ではない。それよりも、著者の考え方に価値がある。それは「かんたんなシステム、かんたんな操作、かんたんな管理」という言葉に表されているのだろう。機能がたくさんあることがソフトの真価ではないはず。MS社のソフトを始めとする最近のソフトは、なんか違う気がする。
使いやすいメモデータベースというのは、自分も欲しいしあれこれ考えている題材ではある。正直言って、著者のメモデータベースは、自分の考えている方向とは少し違うのだが、それは当たり前で、メモなんて物は非常にパーソナルなものなので、ちょっとでも引っかかるところがあれば、使い続ける気がしなくなってしまう。
同時に、何でもコンピュータに入れればいいのかというと、著者はそれには賛成していない。スケジュールは、基本的にはホワイトボード管理出そうだ。電子手帳を使っていても、それでは入力しない。パソコンに入力されている情報は、電子手帳に一方通行でしか流さない。電子手帳は、完全にビュアーとして使っている。
ウィンドウを重ねて、いろいろ切り替えて使うよりも、3台のパソコンをならべて、つけっぱなしで使っているらしい。使いたいときにすぐ使えないと意味がないし、ウィンドウが上にかぶさるという形でも、そのことによってそれまでの作業が中断されるのを嫌っているのだ。
Windowsではできないが(今はできるが)、Macintoshでは1台の本体に、複数のモニタをつなぎ、それを一つのつながった大きな画面として使うことができる(Win98ではできるようになるとか)。Macintoshを使っている人でもこういう事ができるとは知らない人が結構いて、ときどき驚かれるが、これが結構使いやすいのだ。使い分けはもちろん自由だが、第2モニタにメールのウィンドウを置くとか、HTMLのソースとプレビューをそれぞれ置くとか、ウィンドウを重ねずに配置できるのがいい。それに加えて、そのMacintoshの右にWindowsのタワー、左にLibrettoが置いてあるので、非常に楽だ。贅沢ともいうが。
とにかく、機能を使いこなすのに努力が必要なソフトは、使いやすいとはいわない。
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