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うー,楽しい本である。まずなんといってもカヴァー絵がいい。これ,黒澤明監督の「野良犬」での三船敏郎と志村喬である。白いスーツにハンチング,という格好が馬鹿みたいでなかった時代のかっこいいミフネだ,あんた (と偉そうに書くがオレも劇場で観たわけではない,封切りの時は産まれてないしな) 。<BR>
この本は2部構成になっている。前半は小林さんの選ぶ20世紀の洋画,邦画のベスト100という企画読み物。後半はいろいろなところに断片的に書かれた映画に関わるエッセイを集めたものである。本文中にもあるが彼はある時期で映画評論を書くのを辞めており,ここに納められのは評論ではなくあくまで映画にまつわるエッセイである,らしい。そういう風に厳密な分け方をする小林さんがオレは好きだが全然真似しようとは思わない。世代の差かも知れぬ。<BR>
ともかく選ばれた洋画100本のウチ,オレが観ているのはたったの15本,邦画に至っては10本に満たない。まぁどっかの偉いさんが選んだ「ニッポンの百名山」とかいうのを踏破してナニかを成し遂げた気になる,という類いのメンタリティはさらさらないのでそう残念でもないのだが,小林さんの紹介文を読むと観たくなるなぁ。<BR> |