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オビのアオリをそのまま書き写せば,「取材,執筆に丸2年! 早稲田大学,大阪大学,東京大学,経済産業省,ホンダ,ソニー,NEC……,日本のロボット開発の最新動向や現代科学の最新理論から『ヒューマノイド』の未来を探る,渾身のサイエンス・ノンフィクション!!」である。<BR>
著者の田近さんの意図としては,ヒューマノイド研究の最先端をまずルポし,それが「アトム」には遥かに遠いことを指摘。そも我々が思っているアトムのようなヒューマノイドを作るにはどのようなことがまだ明らかでないのか,そのためにどのような研究がなされているのかを紹介していく,ちょうどホーガンの「科学の終焉」みたいなテイストを目指したのだと思うのだ。<BR>
だけどなんつうのかな。ホーガンが取材対象である学者達を挑発したり怒らせたり,サイエンス・ライターとしてのある種の矜持が感じられる取材に読めるのに対し,田近さんの取材はもっと「お説拝聴」みたいな印象があって,自分を出さない匿名子の構成したインタビューみたいなんである。いや,それだけならそういう本として納得が行くんだけど ,その取材結果をまとめる段になると,ホーガンも田近さんも容赦なく「●●氏のこの見解,ワタシには納得いかない」とか書いちゃうわけ。<BR>
オレもヒトにインタビューしてそれをまとめるとか,対談をしてもらって読める記事にするとかって仕事をしたことがあって,その経験から感じるんだけど,おそらくホーガンに取材された学者よりも田近さんに取材されたヒトの方が出来た本を愉快には思わないんぢゃなかろうか。ま,本スジには関係ないところなんだけど。<BR>
前半,AI (人工知能) に関わる話はオレもかつてカジったモノなので「知ってる話」が多く,まぁ流し読みもできたんだが,後半,脳科学や物心論あたりになってくると読んでても付箋を貼りどおしである。青山拓央「タイムトラベルの哲学」やラマチャンドラン「脳のなかの幽霊」,そして上にも書いたホーガンの著作など,ここ数年のあいだに読んだ本の復習をさせられているような知的体験でありました。でもちょっとこの結論は食いたりないなぁ,オレ。<BR> |