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未来のアトム
未来のアトム
著者: 田近 伸和
出版社: アスキー
評価: ★★★
カテゴリ: 脳科学 ロボット
コメント:  オビのアオリをそのまま書き写せば,「取材,執筆に丸2年! 早稲田大学,大阪大学,東京大学,経済産業省,ホンダ,ソニー,NEC……,日本のロボット開発の最新動向や現代科学の最新理論から『ヒューマノイド』の未来を探る,渾身のサイエンス・ノンフィクション!!」である。<BR>  著者の田近さんの意図としては,ヒューマノイド研究の最先端をまずルポし,それが「アトム」には遥かに遠いことを指摘。そも我々が思っているアトムのようなヒューマノイドを作るにはどのようなことがまだ明らかでないのか,そのためにどのような研究がなされているのかを紹介していく,ちょうどホーガンの「科学の終焉」みたいなテイストを目指したのだと思うのだ。<BR>  だけどなんつうのかな。ホーガンが取材対象である学者達を挑発したり怒らせたり,サイエンス・ライターとしてのある種の矜持が感じられる取材に読めるのに対し,田近さんの取材はもっと「お説拝聴」みたいな印象があって,自分を出さない匿名子の構成したインタビューみたいなんである。いや,それだけならそういう本として納得が行くんだけど ,その取材結果をまとめる段になると,ホーガンも田近さんも容赦なく「●●氏のこの見解,ワタシには納得いかない」とか書いちゃうわけ。<BR>  オレもヒトにインタビューしてそれをまとめるとか,対談をしてもらって読める記事にするとかって仕事をしたことがあって,その経験から感じるんだけど,おそらくホーガンに取材された学者よりも田近さんに取材されたヒトの方が出来た本を愉快には思わないんぢゃなかろうか。ま,本スジには関係ないところなんだけど。<BR>  前半,AI (人工知能) に関わる話はオレもかつてカジったモノなので「知ってる話」が多く,まぁ流し読みもできたんだが,後半,脳科学や物心論あたりになってくると読んでても付箋を貼りどおしである。青山拓央「タイムトラベルの哲学」やラマチャンドラン「脳のなかの幽霊」,そして上にも書いたホーガンの著作など,ここ数年のあいだに読んだ本の復習をさせられているような知的体験でありました。でもちょっとこの結論は食いたりないなぁ,オレ。<BR>
関連本棚: svslab 増井 kata earth2001y
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人はなぜエセ科学に騙されるのか〈上〉 (新潮文庫)
人はなぜエセ科学に騙されるのか〈上〉 (新潮文庫)
著者: カール セーガン
出版社: 新潮社
評価: ★★★★
カテゴリ: 教育 科学 社会
コメント:  なかなか刺激に満ちた本であとで引用したくなるようなフレーズ,データが随所に出て来る。例えば5回続けて表を出したコインを投げて次に裏が出る確率は実は表が出る確率と同じである,ところがヒトはそうは思いたがらない。セーガン博士は言う,「人は乱数にすら意味を求める」。<BR>  このセーガン博士,Appleのなにかのプロダクトのコードネームに自分の名前を使われたこと(もちろんこれは「敬意を表してのこと」だった) に抗議して,アップルの技術者がそのコードネームを「石頭の天文学者」と変えたことがあるほど,厳格で融通の効かない面もあるヒトなんだが (この本の中でもテレビのSFモノを批判してるところなんかはそういう感じがする) ,いやしかしこの本で彼が提起している問題はどこの国でも,特に「先進国」と呼ばれる国において,もっと真剣に考えられるべきだと思う。<BR>  「アメリカの学童は十分な勉強をしていない」という,世界規模の学力テストの結果を見ての彼の意見の感想として,高校1年生が以下のようなことを書いて来るクニはちょっとやばかろう? 「よその国みたいに賢くないのはかえっていいかもしれないと思います。どうしてかというと私達は製品を輸入すればよくて,そういう部品をつくることにばかりお金をかけなくて済むからです」 「よその国の方が優秀だからってそれがなんだって言うんだ。どうせみんなアメリカに来たがってるんぢゃないか」
関連本棚: shigeru njin 増井1 6期生 miyano suchi kojima
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