|
|
妖星伝 (1) (講談社文庫)
|
著者: |
半村 良 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
日本
小説
SF
伝奇
|
コメント: |
半村良が実に20年の歳月を費やして完成した伝奇文学の最高峰。<BR>
我が国において,古来「神道」と対極にあったとされる「鬼道」,その信徒たちは皆超能力を持ち,破戒仏を尊み,戦乱と流血の影に暗躍して来たという。江戸は飢饉,腐敗の田沼時代,伝説の統率者にして不死身の存在「外道皇帝」が再臨するという……。<BR>
うう,これ以上なにを言えよう。読む者の宗教観,世界観,生命観,倫理観,宇宙観をもひっくり返す空前絶後の力業。日本語が読めるなら,「妖星伝」を読まぬうちに死ぬな。 |
関連本棚: |
ブースカ
|
|
|
|
|
ダーウィンの使者〈上〉 (ヴィレッジブックス)
|
著者: |
グレッグ ベア |
出版社: |
ソニーマガジンズ |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
アメリカ
小説
SF
|
コメント: |
なんつうのかね,昔はハードSFって言ったら物理学の世界だったのだが,昨今のハードSFは生物学なんだな。オレもそれなりに例えばスティーブン・ジェイ・グールドの本とかを読んだり,ディスカバリー・チャンネルを観たりしてその方面に関して世間の平均以上の知識を持っているツモリだったのだが,「ヒト・ゲノムに数十万年前から潜んでいたレトロウィルスが現代社会のストレスを引き金に活性化して非連続的進化を引き起こすその方法」の解説なんてのは読んでてもさっぱり判らないよ(笑)。<BR>
しかしそれなりに面白く,特に後半,主人公の女性生物学者が自らミュータントを妊娠することを決心してからのダッシュな展開はマイケル・クライトンばりに読ませる。…ま,こういう言い方をするということはつまり前半は結構タイクツなトコもあったということなんだがね。事実を記録したドキュメンタリではなく小説なんだから,フォーカスを絞ることも必要だろう。はっきり言えば前半には無用な,物語的にいなくても大差ないくせに名前を与えられてる登場人物が多い気がする。それからラストで出て来るミュータントの幼児の容貌の描写がイマイチ像を結ばないのもマイナス要因である。顔に「まだら」があっても,文字で「可愛い」って書いてあればああ可愛いのだな,と読んでるヤツは納得するだろうが,それぢゃきっと映画化の話は来ないよ。ペイントの剥げかけたグレート・ムタは可愛くない。 |
関連本棚: |
sen研究本
veri
t_trace
すぐなくぅず
ogijun
|
|
|
|
|
BH85
|
著者: |
森 青花 |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
日本
ユーモア
小説
ファンタジー
SF
|
コメント: |
著者のモリさんとはお知り合い。京都…大阪だっけ? 在住の主婦兼鬼のようなプロレスファンのヒトであり,東京に観戦に来た時などには新宿で飲んだりしたもんなのだ。この本はそんなモリさんが,1999年に日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した作品。<BR>
元々は「究極の毛生え薬」であった遺伝子組替え生物 BH85 がひょんなことから突然変異して大増殖,京都府鳥羽下水処理場を皮切りに,生きとし生けるもののあらかたをその一部としながら遂には地球を覆い尽す,というパニック小説…なんだろうなぁ。早い話 (ちっとも早くないか) ,諸星大二郎のデビュー作「生物都市」の毛生え薬版である。<BR>
この新生物,ネオネモに生物が融合し,その意識が共有されるトコロの描写がすばらしい。あ,ワシも融合したい,とか思ってしまうもんね。至る所暗緑色の新生物に覆われた町の風景なんかは水木しげるの「原始さん」を彷佛とさせる。いや面白うございました。吾妻ひでおの挿し絵も吉。 |
関連本棚: |
mnpk
|
|
|
|
|
蟻の革命―ウェルベル・コレクション〈3〉 (角川文庫)
|
著者: |
ベルナール ウェルベル |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
小説
SF
|
コメント: |
「蟻」トリロジーの最終巻である。1995年に最初の「蟻」が,96年に「蟻の時代」が刊行されてから待つこと実に7年,出版元も変わって文庫本での最終巻はちと悲しいが(「蟻」「蟻の時代」は上下2巻の単行本で持っているのだ),それでもこれを読めたことの幸せを素直にかみしめたい。いやぁ人生へのココロノコリが一個減った(いやまだ山ほどあるんだけどね)気分である。<BR>
シリーズ全部について解説すると長くなるのだが,このトリロジーはつまりニンゲンとアリという,共にこの地球上で社会生活を営む2種の生き物の邂逅と対立,そして共生の可能性についての物語である。フランスの郊外都市フォンテーヌブローを舞台に森に住む赤アリたち,そして彼らとのコミュニケーションに成功したニンゲン達が主人公だ。<BR>
この完結編では,森の中で謎の本「相対的かつ絶対的知の百科事典」を拾った拒食症の少女ジュリーと,ニンゲンと共に暮らしニンゲンの文化について深い知識を身につけた赤アリ103号とが合わせ鏡のように「蟻の革命」と「指(アリ達はニンゲンをこう呼ぶ)の革命」を推進する。ニンゲンたちは高校に立てこもって理想社会を作り上げようとし,アリたちは火の使い方を覚えカタツムリに乗って指との「コンタクト」にやってくる。いやぁ読み終わってしまったのが惜しい。まだ読んでないヒトが心底うらやましいぞ。<BR> |
関連本棚: |
勇魚
|
|
|