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トラウマを持つ人が、サイコセラピーによって、自分が幼いときに性的虐待を受けたという記憶が戻ったとしよう。果たして、その記憶は事実なのか、それともセラピストの誘導により捏造してしまった偽の記憶なのか、それを判断することは人権的に難しい。<br>
そこで、著者は「記憶は作られ得る」という仮説を検証する目的で、自称「宇宙人に拉致されて、あんなことやこんなことをされてしまった」という人々にインタビューをして、事例を集めていく。<br>
後半になると、著者の興味は、誘拐されたという記憶を持つにしても、それがなぜ「エイリアン」の仕業になるのかという点に移っていく。そして、「科学や技術が幅をきかせ、伝統的な宗教が批判されている時代に生きている」我々が、「幸せで健康で人生に希望を持って」生きていくための、新しい信仰、すなわち「宗教」なのだという結論に達する。つまり、科学と伝統的な宗教というジレンマを解消すべく、ヒトは神や天使に宇宙服を着せ、エイリアンとして登場させたのだという。<br>
読後、自分の記憶が、本当にあったことなのか、それとも、そう信じているだけのことなのか、妙に不安になってしまったし、ビリーバーの人たちの方が幸せそうなのが羨ましいとも思った。信じるものは救われる〜♪ |