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「縮み」志向の日本人 (講談社学術文庫)

李 御寧
講談社
ISBN: 4061598163  紀伊國屋, Amazon, WebCat
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評  価 5
コメント
Leiko : これは面白かった。榮久庵憲司のいう「幕の内弁当の美学」も、つまるところこのことだったんだね。 西欧の文化と比較してああだこうだ言う日本人論はどうも面白いと思えないのだが、地理的・文化的にある程度の背景を共有している隣国との比較に基づく指摘は、納得するところ・新しく気付かされるところがとても多い。
ジェミニ :  著者は、韓国人で、日本文化に造詣が深く、韓国の大学教授のときにこの本を日本語で書かれたようです。  表紙にもある扇子ですが、ウチワが中国や韓国から日本に来ると、折り畳み式の扇子となり、持ち運びに便利な物となりました。そして、その扇子は、中国、西洋諸国に逆に輸出されるようになります。  日本人の縮み志向は、物だけでなく、日本語の文法にも表れています。石川啄木の有名な短歌「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」では、助詞の「の」が三重に重なって、遠方の「東海の」から近くの「白砂」まで、ズームアップする効果を出しています。韓国語は日本語と同じ語順で文法的にもよく似ていると言われていますが、「の」が重複する啄木の短歌を韓国語に訳すことはできないとのことです。  他にも、日本人の縮み志向を6タイプに分類したり、古来の日本文化である枯山水や現代のロボットなどさまざまな日本文化に関して、「縮み」という観点から説明されています。  この本が書かれたのは、1982年と日本がバブル経済に突入する少し前で、当時はどんどん発展しつつある日本でしたが、今、読み返してみると、著者は私たちに、日本人は拡大志向は向かないとアドバイスをされているように思えました。  今まで、何冊かの日本人論を読みましたが、この本は、「縮み」というキーワードで、すっきりと日本人を説明されていますので、日本人論・日本文化に関心のある方にお勧めです。
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最終更新 : 2010-02-28 23:34:24 +0900
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