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The Life and Legacy of G. I. Taylor
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著者: |
G. K. Batchelor |
出版社: |
Cambridge University Press |
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Batchelorが書いたG.I. Taylorの伝記。というだけで流体力学を学ぶ学生であれば読みたくなるであろう。だがTaylorの業績を全く知らない人にとってはあまり面白くないかもしれない。それほど平穏で幸福な人生だから。表紙の温和な写真の表情がそれを語る。最終章でBatchelorはTaylorの独創性と生産性の鍵は何であったかを分析している。G.I. Taylorが(ブール代数の)ジョージ・ブールの孫であるとは知らなかった。Taylorの叔母は4次元多胞体の3次元断面について研究していた(p.18)。 |
関連本棚: |
陰山
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量子の海、ディラックの深淵――天才物理学者の華々しき業績と寡黙なる生涯
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著者: |
グレアム・ファーメロ, Graham Farmelo |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
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無口な天才ぶりはいうまでもないが、意外にも人間的な面がたくさんあった。漫画が好きで、映画「2001年宇宙の旅」に夢中になった。晩年、一般向けの講演はうまく、評判も良かった。一部の友人をとても大切にした。エーレンフェストの悲劇的な最後に際して感情を表した手紙をボーアに書いた。いろいろ変わったところもあっただろうし、著者は最後に色々推測しているが、これほどの天才なのだからそんなことどうでもいいじゃないかと思う。
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関連本棚: |
岸リトル
陰山
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数学放浪記
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著者: |
ピーター フランクル |
出版社: |
晶文社 |
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ハンガリー生まれの数学者。大道芸人。11カ国語を話すという。40歳前に書かれた自伝だが、普通の人生の10倍くらいの体験を既にしている。エルデシュとロナルド・グラハムについて書かれた章(6章)が私には特に面白かった。 |
関連本棚: |
ogijun
陰山
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なぜ、男は老いに弱いのか? (講談社文庫)
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著者: |
三好 春樹 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
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男は役職と名刺を作りたがり(p.48)、介護もマニュアル化したがる(p.142)
引用:「どうやら男は、働いているか、もう死んでるか、さもなくば家の中に閉じこもっているかのいずれらしいぞ」(p.18) 「将来、体が不自由になって老人施設に入所することになったとしよう。そのとき介護職から嫌われない条件は二つしかない。一つ目は体重が重くないこと・・・二つ目は性格がひねていないこと」「・・・夫が亡くなると、残された奥さんはとたんにイキイキしてくる。中にはお葬式で涙を流した数日後、女友達と祝杯を挙げるなんて恐ろしい話も聞いたことがある。「裏葬式」と言うのだそうだ」(p.201)。
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関連本棚: |
陰山
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ほがらかな探究南部陽一郎
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著者: |
福井新聞社 |
出版社: |
福井新聞社 |
評価: |
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タイトルの通り。今日ちょうど、南部陽一郎が指導教官だったという物理学者についての <a href="http://www.nytimes.com/2013/03/10/magazine/the-professor-the-bikini-model-and-the-suitcase-full-of-trouble.html">記事</a> を読んだところ。"astonishingly no ego"(記事の中の表現) の南部陽一郎の弟子にしてはちょっと情けないというか不思議な話だ。それはともかく、この本は本格的な評伝といったものではなく、本人と周辺の人々のインタビュー集。写真も多い。 |
関連本棚: |
陰山
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東京大学マグナム望遠鏡物語
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著者: |
吉井 譲 |
出版社: |
東京大学出版会 |
評価: |
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基礎科学の社会への還元。リーダーシップ。チームワーク。出る杭になるということ。「周囲から何も言われなくなるまで叩かれ、鍛えられてこそ、人も仕事も本物になる」 (p.152) 寄付金を集めるために100社以上回ったという(p.146)。紙の質が良く、活字も綺麗。 |
関連本棚: |
midorikiseki
陰山
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私の歩んだ道―湯川中間子とともに
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著者: |
中村 誠太郎 |
出版社: |
東海大学出版会 |
評価: |
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引用: “湯川先生は、「分からないことは何でも聞きに来なさい。知らないことが残っていると研究室全体の能率が落ちる。自分の恥と思わず研究室のためと思って何でも聞くことだ」と言われた。ただし実際に聞きに行くと「まだこんなことも知らんのか」と呆れたような顔をされるのには閉口した。” (p.6) “朝永教授は・・・量子力学の講義では、懇切丁寧で式を一つ一つ追って説明される。ときどき先生自身が途中で分からなくなると「エーッ」と腰に手を当てて沈思黙考三十分にもなり、終わりの鈴が鳴ると「ではこの次に」といわれて帰ってしまわれる。」” (p.11) |
関連本棚: |
陰山
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レーザーはこうして生まれた
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著者: |
C.H.タウンズ |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
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誘導放射のアイデアを初めて思いついた時の話。公園のベンチに座り、“「どうして解決方法が見つからないのだろうか。基本的にこれを阻んでいるのは何だろう?」と考えた。”(p.80)そして発信器に必要な分子量を(本当に)封筒の裏で計算したという。 |
関連本棚: |
つとめさき
陰山
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1つの爆弾 10の人生
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著者: |
ステファニア マウリチ |
出版社: |
新日本出版社 |
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マンハッタン計画に関わった9人と被爆した1人(沢田昭二)、合計10名の物理学者に対するインタビュー集。 テッド・ホールは18歳の時、自分の目標をこう書いた:「優越感に依存しないで力を楽しめるようになること」 (p.156) こういった、まじめで、頭の良い、「優秀」な若者達が作りだした原爆。被爆者である沢田昭二(当時13歳)の証言: “母は壊れた家の下敷きになっていて・・・足を挟まれて動けないといいました。私は助けようとしましたが、私の力ではだめでした・・・火の手が迫っていることに気づいて母に言うと、母は「あなたは生きなさい。しっかり勉強して立派な人間になりなさい」と言いました。火は急激に大きくなってきました・・・「もう行きなさい、お母さんのことは心配しないで、早く逃げなさい!」と叱るような命令調で言いました。それで、私はお母さんごめんなさいと謝りながら逃げたのです。これが母と交わした最後の言葉です。” (p.136) |
関連本棚: |
陰山
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Fascinating Mathematical People: Interviews and Memoirs
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著者: |
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出版社: |
Princeton Univ Pr |
評価: |
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AhlforsやSelbergなど超有名数学者を含む数学者のインタビュー集。それ以外にも興味深い人が多い。例えばLeon Bankoff という歯科医にして数学者という人。インタビュアーに “You're working full-time as a dentist, playing the piano, sculpting, playing chess, taking pictures, and doing mathematics. Do you sleep a negative number of hours per night? ”と聞かれて、“No more than four.” と答えている。最新のエルデシュエピソードは?と聞かれて(彼のエルデシュ数は1)一緒にワイセンベルクのコンサートを聴いている(寝ている)間にエルデシュが数学の問題を一つ解いたという話を紹介する。彫刻家でもある彼がショパンの墓の女神像の指が折れているのを見つけたときの話も面白い。 |
関連本棚: |
陰山
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行為と妄想 わたしの履歴書 (中公文庫)
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著者: |
梅棹 忠夫 |
出版社: |
中央公論新社 |
評価: |
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オリジナリティとは何か。学問とは何か。書物を通じてもこれだけ感化されるのだから、直接会っていたらどれほどであったろうかと思う。博士論文は “数式がふんだんにでてくるので、動物学教室ではとても審査できなきないという・・・それで数学教室の・・・小堀憲、秋月康夫両教授” が審査した(p.137)。 人文研での研究会について: “討論は毎回猛烈をきわめた。自分の目で見たこと、自分の頭でかんがえたこと以外はまったく問題にされず、ひとの説をかりて受け売りなどすれば、一座の冷笑をかった。” (p.165) |
関連本棚: |
陰山
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ブラックホールを見つけた男
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著者: |
アーサー I.ミラー |
出版社: |
草思社 |
評価: |
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チャンドラセカールの伝記。天才であっても順風満帆な人生が保証されているわけではない。ハードワークの大切さ。インドを訪問したハイゼンベルクを学生のチャンドラセカールが車で案内した(p.66)。チャンドラセカールが、リーとヤン「だけ」を教えた講義の話。“その年の冬、この地方は猛烈な吹雪に見舞われ・・・チャンドラは断固、鉄道と徒歩の旅を敢行してシカゴに入り、その後大学までは長い距離を歩いた。この時の講義に顔を出したのは、あの教授はこっちに向かっている最中だ、とフェルミに教えられたりーとヤンだけだったのである。” (p.329) 最後に、うーむ、そりゃあそうだろうなあ、という箇所を引用する: “その有名な本は1961年に・・・出版された。チャンドラは・・・基本的にはそれほど重要でもないテーマに10年もの歳月を無駄に費やしてしまったとの思いがあった。” (p.396) |
関連本棚: |
岸リトル
T.Miyashima
陰山
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数理つれづれ
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著者: |
森口 繁一 |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
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面白い話がたくさん。コップの水をかき回すと境界層のために底にあるお茶の葉が中心に集まる。これを逆に中心から離すためにはどうするか(p.109)。2章に対数方眼紙の使い方が書いてあり、これを読むと、いろいろなものをプロットしてみたくなる。巻末に対数方眼紙つき。 |
関連本棚: |
陰山
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ミミズに魅せられて半世紀
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著者: |
中村 方子 |
出版社: |
新日本出版社 |
評価: |
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学生時代、奨学金で購入した専門書の扉に著者は、「私の学問・研究がいつか多くの人々と共有できる知として発展できるように励みたい」と記す(p.46)。だが、その後の研究環境はたいへんな逆境になる。週に44時間もの雑用(p.61)の中身もひどいが、上司のK先生というのがあきれるほどひどい人物である。それ以外にも女性研究者として受けた理不尽な差別と偏見の中、それでも研究を続けてきた著者には本当に頭が下がる。著者は自分が勤務する大学の女子学生のための奨学金を設置して定年まで毎年180万円を寄付した。ポーランドで念願のミミズ研究に没頭する11章が特に楽しい。 |
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陰山
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Feynman's Tips on Physics: Reflections, Advice, Insights, Practice
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著者: |
Richard P. Feynman, Michael A. Gottlieb |
出版社: |
Basic Books |
評価: |
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Feynman Lectures on Physicsに含まれていない講義、比較的易しい題材を集めたもの。この第二版ではファインマンのインタビューなどが追加されている。Lecturesをしていた頃、他の研究や教育はやめてこれだけに集中したのではと聞かれてファインマンはこう答えている。"I did, in fact. I can hardly believe it, but my wife tells me that I was working essentially day and night, sixteen hours a day, all the time."(p.16)。1章の講義において、ファインマンは良い成績がとれない学生、自信を失いかけている若者達に優しく語りかける。カルテクが優秀な学生を選抜するためにいかに努力しているかを説明し、"But...we've found a very serious problem...when they get here something happens: it always turns out that approximately half of them are below average!" (p.37) 序文によれば、"Lectures"が全部LaTeXで書き直されたのだそうだ。
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陰山
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オリヴァー・ヘヴィサイド: ヴィクトリア朝における電気の天才――その時代と業績と生涯
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著者: |
ポール・J. ナーイン |
出版社: |
海鳴社 |
評価: |
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ヘヴィサイドの伝記。独学の人。数学の達人にして愛すべき変人。“英国人は変人が好きだ”(p.1、序文) 同軸ケーブルの発明者であり、演算子法の考案者であり、電離層に名を残す。電磁気学でベクトル解析を使うのが便利だというのは今では当たり前のことだが、十九世紀末には四元数の方が便利だと主張する人(テート)がいて大論争になっていたという。その詳細が9章にある。ヘヴィサイドとギッブスがベクトル解析派。とにかく論争ばかりしている。 |
関連本棚: |
陰山
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