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わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
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著者: |
カズオ・イシグロ |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
私なりに、この風変わりな恋愛小説を考えてみた。
最初、所謂「三角関係」をモチーフにした主要人物が考えられたのだと想像できる。でも、普通の一生を遂げる人間たちの物語ではなく、何らかの制約の中で生きる子どもたち、青年たちを描こうということになったのだと思う。
そこで、映画絡みで来日した作者が、福岡伸一氏とテレビで対談していたが、彼は、2度この小説の執筆を断念している、というエピソードが披露されていた。それが、有名なクローン羊「ドリー」の誕生を知ったことによって、大枠が決定され、日の目をみることになった、という説明がなされていた。
確かに、その時点で、クローン人間たちの物語を書く、という発想に至り、作者が求めていた制約、記憶の問題に繋がる環境設定が可能になったと言われていた。しかし、それだけで、この物語が形成されたとは、とても思えない。
何を問題にしているかというと、比較すると、全然違った毛色の作品にもかかわらず、このクローンたちというのは、驚くほど、『アンドロイドは、電気羊の夢をみるか?』。そう、フィリップ・K・ディックの代表作であり、リドリー・スコット監督、ハリソン・フォード主演で映画化され『ブレードランナー』では、「レプリカント」と名づけられた人造人間たちにうりふたつ、であることがわかる。
但し、レプリ達の寿命は僅か「4年」であり、遥かに短い。また、レプリ達は、人間以外の動物が絶滅した2019年の世界で、異星の開拓にこき使われ、反乱を起こす。そして、地球をめざすのだが、その動機は、4年の寿命を延ばして欲しい、ということ。そして、それが叶わないと分かった時、レプリのリーダー格であったバディは、造物主たるタイレル社長の殺害に及ぶ。
その暴力性と親殺しに当たる設定は、決定的に異なっているが、それ以外、感情や情緒の問題も含め、人間とクローン、レプリの相違点というのは、かなり似通っている。恐らくは、映画好きな作者が、SF作品の原作ではなく、映画の方をよく知っていて、参考にしたのではないかと思う。
ただ、それにしても、この「せつない」物語は、泣けるものだと思う。
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