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その人は「誰に愛されていたのでしょうか。誰を愛していたでしょう。どんなことをして、人に感謝されたことがあったでしょうか」
坂築静人は事故や犯罪で亡くなった人の現場を訪ね、周りの人にその人の生きた証しを聞き、心に刻んで「悼む」
5年間、そうした旅を続けている。野宿しながら。
週刊誌のエログロが得意な記者、仏の生まれ替わりのような僧侶の夫を刺し殺した女性、静人の家族、末期がんである静人の母、色々な人が静人と関わり、人生が進んで行く、ゆっくりと。
重いテーマなのだが、残忍で嫌な感じの小説ではない。
ひとりひとりの大切な人生を心に刻んで「悼む」
それが犯罪者であっても、赤ちゃんであっても、聖職者であっても、死は平等である、生も平等であるように。
というメッセージを受け取りました。
一人ひとりの人間の生を慈しむ、清らかさがあって、救われる。 |