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沖縄ストーリーズ (ヴィレッジブックス+)
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著者: |
砂守 勝巳 |
出版社: |
ソニーマガジンズ |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
上っ面の“沖縄病”罹患者の物語に終わっていないことに好感が持てる。淡々とした文体も内容に合っている。どれを取っても読みごたえのある6編が収められているが、やはり衝撃なのは「たぼ美の話」だ。<br>
昔、テーマに沿った素人を50人集めてトークを繰り広げる番組(司会は上岡龍太郎)があった。たぼ美は、ミスターレディがテーマの時の常連で、美人ではないがお茶目で可愛らしい人だった。明るくはしゃぐ姿が印象深く、番組が終わってからも“沖縄のたぼ美”のことは何となく覚えていた。そんなたぼ美の抱えていたものの重さが、この本には書かれている。ゲイとしてのたぼ美ではなく、一人の沖縄の青年である“彼”として知り合った作者だからこそ書けたものだろう。孤独死したというたぼ美に、哀悼の意を。 |
関連本棚: |
Leiko
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福田繁雄のトリックアート・トリップ
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著者: |
福田 繁雄 |
出版社: |
毎日新聞社 |
評価: |
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コメント: |
毎週楽しみにしていた新聞連載の単行本。あの家の窓も、この通りを歩く人も、その街角に佇む人影も、みんなみんなトリックアート。おいしそうなケーキも、宙に浮かぶ陶器の壺も、みんなみんなトリックアート。靴型やコーラ瓶型の電話機などは、本当に欲しくなってしまう。<br>
この本の装丁自体も福田氏のトリックアート作品になっているという、お茶目な仕掛け。 |
関連本棚: |
巡回時間風景
Leiko
ウサ子
suchi
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ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
ロバート・J. ソウヤー |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
「タイトルがネタばれのような気がするが、ソウヤーのことだから簡単に帰着はしないだろうと期待しておく」と読む前には言っていたわけなのですが、全然ネタばれじゃなかった……。<br>
それにしても今回は煮え切らない展開が少なくない。<br>
あれだけカトリックの信仰にこだわっていたメアリが、デザイナーベビーを造ることに何の疑問も抱かないってのはどうよ。遺伝学者だからそのあたりの技術に抵抗がないのかもしれないが、出生前診断以上にデリケートな問題だと思うんだけどなぁ。まぁ、この巻でのメアリは、見ているこっちがびっくりするぐらいにネアンデルタールの世界にどっぷり適応していくわけで、タイトルのハイブリッドというのはある意味メアリのことだと言えなくもない。<br>
ソウヤーの作品は無意味に人が死なないので好きだったのだが、今回は終盤で「こんな展開じゃ無念だ」と思える人物の死が待っている。これはさすがに悲しすぎる。<br>
で、ラストのオチは……。(しばし沈黙しつつ、)ソウヤーの「広げた風呂敷は全部丸め込んで畳んでみせる」という技は健在だと分かったので良かった。ただ、無宗教と無神論は違うものだし、一神教と多神教だって大きな違いがある。神と呼ばれるものが必ずしも超越した存在とは限らない。そこを考え出すとキリがないのは分かってはいるが、この話は北米大陸が舞台だからこそ成立した話なのだろうということは確かだ。
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関連本棚: |
Leiko
コンマ
sho
takoyakim
読む時間欲しい
km
シャッチ
nethack
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亜州未来図2010―4つのシナリオ (博報堂フォーサイトブックス)
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著者: |
博報堂フォーサイトチーム |
出版社: |
阪急コミュニケーションズ |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
えーと、これは小説……?<br>
近未来のビジネス展望はともかく、どうでもいいライフスタイル描写がうっとうしい。着眼点は悪くないのだから、もうちょっと面白い本に出来そうなのにねぇ。2010年の未来予測の本を2003年に出版する根性にも驚き。まぁそれを2005年に買った私がいるわけだが……。<br>
2010年に「7年前の人はこんなことを考えてたのかぁ、へぇ〜」と笑い飛ばすためのネタとしてどうぞ。ちなみに文体が小説の文章ではないため、ストーリーを読むのは力技ですぞ。<br>
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参考<br>
<a href="http://www.seikatsusoken.jp/futuretimeline/index.php">博報堂の未来年表</a><br>
<a href="http://www.nri.co.jp/publicity/2010/nenpyou.html">野村総研の未来年表</a> |
関連本棚: |
Leiko
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ひとりで学べる色彩検定2級・3級試験
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著者: |
岩井 ますみ |
出版社: |
ナツメ社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
2・3級を1冊でカバーできるので、おトクだと思って購入。実際、この本で勉強するだけで、無事に3級(2002年秋期)2級(2004年春期)にそれぞれ一発で合格できたのだが、本自体の出来にはちょいと疑問。<br>
色彩の本だというのに本文は2色刷り。カラーの口絵もあるにはあるが、必要最低限という感じ。色名を覚えるためのカラーチャートも別刷りで、そのチャートを本文の解説ページに切り貼りせねばならない(1cm×1cmほどのカラーチップを何十枚も切り貼り……)。おまけに、切ってから気付いたのだが、チャートにあるのに本文に解説がない色が結構あった。<br>
時々誤植があったりもするし、それがよりによって問題の解答の番号だったことも。<br>
まぁ、チャートを切り貼りしているうちに色名をあらかた覚えることができたし(やはり手を使うというのは重要っスね)誤植に気付けたということは自分の知識が高まっている証拠とも考えられる。と、無理して褒めるのもアホらしいのだが、もう合格したからどうでもいいや……。<br>
現在は、試験内容が一部改定されているので、検定対策としてはもう役に立たない本だと思われます。 |
関連本棚: |
Leiko
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ホミニッド-原人 (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
ロバート・J. ソウヤー |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
ニュートリノ観測所から始まる物語。どうせならスーパーカミオカンデを舞台にしてくれれば……という日本人のぼやきは置いておくとして(笑)。<br>
丁寧に取材された最新の科学と、全ての事象が無駄なく絡み合うプロット。ソウヤーならではの作風です。展開と構成の巧みさは、ご都合主義だとかツッこむ間もないほど。そんなにうまくいくわけないじゃんと斜に構えずに、素直におもしれぇなぁと楽しむが吉でしょう。<br>
前半、ソウヤーらしい伏線がいくつか張られています。おそらくソウヤー作品を読んだことのある方なら「これが伏線だな」と気付くでしょうが、もちろん物語が進むにつれて、期待に違わぬ収束を見せてくれます。<br>
<br>
ところで、このシリーズは無事に3部作全巻が邦訳されているわけですが、<b>恐竜ダーウィン少年と恐竜フロイト博士はまだですか。</b> |
関連本棚: |
ORIENTAL-RUNRUN
Leiko
YOROKOBI
コンマ
sho
km
minek
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こちらニッポン… 上 (角川文庫 緑 308-29)
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著者: |
小松 左京 |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
人類のほとんどが忽然と消えてしまった中で生きねばならない状況の徹底したシミュレーションは、現代でも充分通用する内容。面白く、かつ緊迫しながら読みました。<br>
ていうかこの結末はありなのですか、ありなのですか!?(結末は読まなかったことにしよう……) |
関連本棚: |
Leiko
tyosaka
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西洋哲学史―古代から中世へ (岩波新書)
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著者: |
熊野 純彦 |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
世界を渡る素敵な工学者になるには、言語と宗教と哲学についての造詣が必要である。と、よその大学から集中講義しにいらっしゃったセンセイに聞いた。<br>
で、世界を渡る素敵な工学者になる予定はないのだけれど、感化されやすくて道草大好きなアタシは今、この本を読んでいるわけである。<br>
<br>
哲学——それは、近いところまでは何度も来たけれど、一所懸命見て見ぬふりをしてきた分野。だって、ここに手を出したが最後、なんだかよくはわからないのだけれどとんでもないことになってしまいそうな気がしていたのだ。<br>
そういえばデリダの訃報を聞いたとき、避けてたけどそろそろ手を出すかぁと一瞬思ったりもしたっけ。そのときはそれっきりだったのだけれど、何故か今回は「おぉ、今が手を出すときだ」と目覚めてしまった。<br>
しかし哲学と言ってもよく分からん。分野や学派はおろか、どんな人がいるのかも分からない。そこで哲学史の本を選んだ。この本は最近出たばかりだし、ネットサーフィンした限りでは評判も非常にいい。<br>
<br>
そんなわけで読み始めてみたものの、内容が難しいとかいう以前の段階でつまづいてしまった。アナクシマンドロスがアルケーとしたものはアペイロンである、とか言われても、正直言ってどれが人名かすら判別できないのよ。自慢じゃないけどアタクシ、ずぶの素人ですもの。<br>
最初は格闘(それもかなり劣勢)していたが、巻末の索引と年表を駆使し、メモを取りながら読むことで、少しは読み進められるようになってきた。と言っても、1回本を開くたびに見開き2ページ読むのがやっとだが(ページをめくる前に一息入れないと身が持たない)。<br>
<br>
今のところ分かったこと。<br>
哲学ってのは想像以上に理系な学問だということ(何で哲学科って文学部にあるんだろう)。<br>
何となく、哲学というのは考えても考えても答えが出ないことを延々と考えている、というイメージがあったのだが、どうもそういうわけではないようだということ。<br>
どうも西洋哲学の世界には「神」というものがどーんとのしかかっているらしいということ。特にキリスト教ののしかかりっぷりは凄そうだ。<br>
<br>
ずっと予感していたとおり、なんだかよくはわからないのだけれどとんでもないことになってしまった。でも哲学って面白い、だからとりあえず良かった。<br>
なお、もうすぐ近代以降編が出るらしい。乗ってしまった舟なので、続巻もおつきあいするつもりだ。<br>
<br>
以上が[2006/9/18 02:18:51]の更新。<br>
その後、<a href="http://www.hondana.org/Leiko/4004310083.html">続刊</a>買いました。 |
関連本棚: |
Leiko
朱夏
妄想文庫(仮)
がこび5/人文科学
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小さな刺し子―カンタンに作れる雑貨&袋もの (きっかけ本)
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著者: |
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出版社: |
雄鷄社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
刺し子入門本。手堅くまとまっていて初心者にはおすすめ。<br>
掲載されているのは伝統文様ばかり。決まったパターンで面を埋めるものが中心で、散らし文様は載っていません。糸や布の色あわせがポップだったり、文様の入れ方が可愛らしくアレンジされていたりして、純和風というよりは若い人向けのデザインが中心。
麻の葉や分銅つなぎなど、有名どころの文様は網羅されていますが、青海波が載っていなかったのがちょっと惜しいところ。
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関連本棚: |
Leiko
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はじめての手作り かぎ針編みのセーターと小もの 旬アイテムがやさしく編める!
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著者: |
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出版社: |
実業之日本社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
(1)簡単な編み方でできる<br>
(2)「いかにも手編み」なデザインじゃない<br>
(3)基本の形が編めれば色々なバリエーションが展開できる<br>
張り切って妙に凝ったものを作るよりは、このくらいのシンプルなものの方が編みやすいし着回しやすいのでは。小物からスーツまで載っていますが、格別難しそうなものはありません。あとは予算と根気があればいいだけ〜。<br>
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ただいま、生成りコットンのスラブ糸でプルオーバー編んでます。 |
関連本棚: |
Leiko
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ミステリオーソ―映画とジャズと小説と
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著者: |
原 りょう |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
現在は、この単行本発刊後に発表されたエッセイ等も含めた上で文庫化されています。文庫版は『<a href="http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4150307938/">ミステリオーソ</a>』『<a href="http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4150307946/">ハードボイルド</a>』の2分冊。<br>
ところで2005年6月現在、Amazonでその文庫版の「<b>同じテーマ</b>の商品を探す」と、ふくやまけいこと吾妻ひでおが……。<br>
<br>
2005年8月4日追記。現在、小林泰三の『海を見る人』まで登場。超ハードSFでっせ……。<br>
みんないったいどういう買い方をしているのだ。<br>
<br>
2006年9月追記。上記の<b>すごい</b>結果は消えているようです。現在は、予測の範囲内の書籍(チャンドラーとか)が、類似商品として挙げられているようです。 |
関連本棚: |
Leiko
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わかりやすいかぎ針編みの基礎とコツ
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著者: |
小瀬 千枝 |
出版社: |
文化出版局 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
わかりやすいです。表題に偽り無し。<br>
初心者を脱した人も、持っていて損はないと思います。教本というより辞書といえる本。 |
関連本棚: |
Leiko
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ニッポンのサイズ―身体ではかる尺貫法
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著者: |
石川 英輔 |
出版社: |
淡交社 |
評価: |
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コメント: |
エッセイの内容は面白いのだが、もうちょっとビジュアル的に「ニッポンのサイズ」がつかめた方が良いのではないかなぁ。寄藤文平がサイゾーに描いたあのイラストみたいなのが添えられていてほしかったところ。※本書のイラストは寄藤氏ではありませぬ、念のため。 |
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Leiko
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竜宮の乙姫の元結いの切りはずし (講談社文庫)
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著者: |
薄井 ゆうじ |
出版社: |
講談社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
その昔。私は夏休みの宿題に、この本の読書感想文を書いた。もちろん、抽象的すぎてよく分からん部分やお姉ちゃんとほげほげしている部分は全部テキトーにごまかして、僕の心情がどうのこうのと何やらウケが良さそうなところだけ並べ立て、口当たりの良さげな感想文に仕上げた。困ったことにその狙いは当たりすぎてしまい、校内選考を通り県の選考を通り、全国コンクールまでいってしまった。……選考委員たち、絶対この本を知らないと見た。<br>
とまぁ、そういう経緯のおかげで私にとってはかなり思い出深い本ですが、よいこのみんなは都合のいいところだけ並べ立てて感想文をでっちあげることはやめましょう(苦笑)。<br>
短いながらも薄井テイストに満ちているので、薄井ゆうじ入門におすすめ。 |
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Leiko
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イエティの伝言 (小学館文庫)
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著者: |
薄井 ゆうじ |
出版社: |
小学館 |
評価: |
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コメント: |
愛という名の哀しいエネルギーの物語。<br>
薄井作品を読むのは久しぶりだったのだけれど、相変わらずの作風ですなぁ。 |
関連本棚: |
Leiko
さとほ
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東京窓景
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著者: |
中野 正貴 |
出版社: |
河出書房新社 |
評価: |
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コメント: |
大学の研究に使う本を買いに行ったつもりが、この本をかかえて帰ってきてしまいました。<br>
部屋とその窓から見える風景が集められた写真集。実にシュールレアリスムなレアリスムである。世の中には、うんこビルを横目に寝起きしている人もいれば、モザイクのように分割されたスクランブル交差点を覗き込んでいる人もいるのだ。日常は、それを日常としない者の目から見ると、こんなにも不可思議なものだということを見せつけられる。<br> |
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Leiko
たらちね。
KarukuIppai
suchi
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