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このマンガを読め! (2005)
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ISBN: 4939138232
紀伊國屋
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カテゴリ
マンガ
評 価
2
コメント
copyright :
このミスのマンガ版であるが、面白いマンガが何かないかと思って買ってみた。 いくつか読んでみたいと思うようなマンガもあったし、夏目房之介氏らが書いた2004年トピックスや、2004年回顧座談会もなかなか面白かった。 しかし「2004年10大ニュース」を読んで、この本の評価を大いに下げてしまった。 私自身はマンガの熱心な読者ではないし、「このニュースが入っていないじゃないか」とか「これが10大ニュースに入っているのはおかしい」とか言うつもりはありません。これが10大ニュースだと言われれば、まぁそうなんだろうな、と思う程度です。 しかし、取り上げられたニュースについて、事実誤認や書き方はおかしいのではないかというのが3つありました。 まず1つ目は「2時間ドラマが「家裁の人」を無断引用」です。 何度も書いていますが、「引用」なら無断で行って何等問題ありません。 このニュースはむしろ「盗用」だとか「盗作」とすべきでしょう。 まぁ、それでもこの程度でしたらまだ許容範囲かもしれません。 次に「まんだらけ、原画流出の波紋」です。 漫画原稿を流出させたのはさくら出版。この見出しだとまんだらけ流出させたように読めてしまいます。 他にもこの解説は事実誤認が多い。 2003年秋、マンガ専門店のまんだらけでマンガ家の知らない間に原画が販売され、問題になった、いわゆるマンガ原画流出事件は、その後、弘兼憲史を代表とする約20人のマンガ家で結成された「漫画原稿を守る会」がまんだらけを訴訟する問題へと発展した。結局、まんだらけが原画をマンガ家に無償返却することで和解。 まず「漫画原稿を守る会」は訴訟を起こしていません。 訴訟を起こしたのは、弘兼憲史氏と渡辺やよい氏。 そして、まんだらけと和解したのは弘兼氏で、渡辺氏の訴訟は一審でまんだらけに賠償命令が出ましたが、まんだらけ側が控訴しており、まだ結審していません。 さらに言うと「漫画原稿を守る会」は5月に閉会しています。 この事件・訴訟についてはまとめサイトなどもあるので、ちょっと調べれば分かることなのに、これだけ事実誤認が多いと、著者が全然調べていないのではないかと疑いたくなる。 最後に私にとって一番許せないのは「マンガの貸与権で首相に陳情」 書籍・雑誌への貸与権の適用を含む著作権法改正案は第159回国会で成立しています。マンガ界にとっては、貸与権が成立したことよりも、主張に陳情したことの方が重要なんでしょうか? 3月30日、藤子不二雄A、さいとう・たかお、里中満智子、ちばてつや、弘兼憲史といった当代売れっ子マンガ家が小泉純一郎首相を訪れ、マンガにも音楽や映画と同様に著作権料を徴収できる「貸与権」を認めよ、と陳情した。 これも何度も書いているが、「貸与権」は報酬請求権ではありません。著作権料を徴収することもできるが、貸与を一切認めない、禁止することのできる、強力な権利です。 作家の権利は大切だが、著作権法が改正されるとこの業界が打撃を被ることは必至。 前述の通り、著作権法は改正され、1月1日から施行されます。さらに、貸与権料の徴収方法について、マンガ家・出版社側とレンタルコミック側との協議は決裂してます。 抵抗勢力がどう出るか、経過を見守りたい。 一番問題なのは「抵抗勢力」という書き方。何故レンタルコミック業者が「抵抗勢力」と呼ばれなければならないのだろうか。このようなレッテル貼りを行って、レンタルコミック業者を貶めることは、私には許せない。 このように10大ニュースのうち、3つのニュースには、事実誤認や問題のある記述がなされている。この部分を執筆したのは、ライターの木全公彦氏。木全氏はこの原稿を書く際にどれだけ下調べをしたのだろうか。正直言って、いいかげんなことを書いて欲しくないと思った。
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最終
更新
: 2004-12-27 23:58:26 +0900
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評 価
コメント
このミスのマンガ版であるが、面白いマンガが何かないかと思って買ってみた。 いくつか読んでみたいと思うようなマンガもあったし、夏目房之介氏らが書いた2004年トピックスや、2004年回顧座談会もなかなか面白かった。 しかし「2004年10大ニュース」を読んで、この本の評価を大いに下げてしまった。 私自身はマンガの熱心な読者ではないし、「このニュースが入っていないじゃないか」とか「これが10大ニュースに入っているのはおかしい」とか言うつもりはありません。これが10大ニュースだと言われれば、まぁそうなんだろうな、と思う程度です。 しかし、取り上げられたニュースについて、事実誤認や書き方はおかしいのではないかというのが3つありました。 まず1つ目は「2時間ドラマが「家裁の人」を無断引用」です。 何度も書いていますが、「引用」なら無断で行って何等問題ありません。 このニュースはむしろ「盗用」だとか「盗作」とすべきでしょう。 まぁ、それでもこの程度でしたらまだ許容範囲かもしれません。 次に「まんだらけ、原画流出の波紋」です。 漫画原稿を流出させたのはさくら出版。この見出しだとまんだらけ流出させたように読めてしまいます。 他にもこの解説は事実誤認が多い。 2003年秋、マンガ専門店のまんだらけでマンガ家の知らない間に原画が販売され、問題になった、いわゆるマンガ原画流出事件は、その後、弘兼憲史を代表とする約20人のマンガ家で結成された「漫画原稿を守る会」がまんだらけを訴訟する問題へと発展した。結局、まんだらけが原画をマンガ家に無償返却することで和解。 まず「漫画原稿を守る会」は訴訟を起こしていません。 訴訟を起こしたのは、弘兼憲史氏と渡辺やよい氏。 そして、まんだらけと和解したのは弘兼氏で、渡辺氏の訴訟は一審でまんだらけに賠償命令が出ましたが、まんだらけ側が控訴しており、まだ結審していません。 さらに言うと「漫画原稿を守る会」は5月に閉会しています。 この事件・訴訟についてはまとめサイトなどもあるので、ちょっと調べれば分かることなのに、これだけ事実誤認が多いと、著者が全然調べていないのではないかと疑いたくなる。 最後に私にとって一番許せないのは「マンガの貸与権で首相に陳情」 書籍・雑誌への貸与権の適用を含む著作権法改正案は第159回国会で成立しています。マンガ界にとっては、貸与権が成立したことよりも、主張に陳情したことの方が重要なんでしょうか? 3月30日、藤子不二雄A、さいとう・たかお、里中満智子、ちばてつや、弘兼憲史といった当代売れっ子マンガ家が小泉純一郎首相を訪れ、マンガにも音楽や映画と同様に著作権料を徴収できる「貸与権」を認めよ、と陳情した。 これも何度も書いているが、「貸与権」は報酬請求権ではありません。著作権料を徴収することもできるが、貸与を一切認めない、禁止することのできる、強力な権利です。 作家の権利は大切だが、著作権法が改正されるとこの業界が打撃を被ることは必至。 前述の通り、著作権法は改正され、1月1日から施行されます。さらに、貸与権料の徴収方法について、マンガ家・出版社側とレンタルコミック側との協議は決裂してます。 抵抗勢力がどう出るか、経過を見守りたい。 一番問題なのは「抵抗勢力」という書き方。何故レンタルコミック業者が「抵抗勢力」と呼ばれなければならないのだろうか。このようなレッテル貼りを行って、レンタルコミック業者を貶めることは、私には許せない。 このように10大ニュースのうち、3つのニュースには、事実誤認や問題のある記述がなされている。この部分を執筆したのは、ライターの木全公彦氏。木全氏はこの原稿を書く際にどれだけ下調べをしたのだろうか。正直言って、いいかげんなことを書いて欲しくないと思った。
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