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象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)
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著者: |
恩田 陸 |
出版社: |
祥伝社 |
評価: |
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カテゴリ: |
恩田陸
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コメント: |
『今って、本当に手を触れることが減っているでしょう。キーボード越しのやりとり、受話器越しのやりとりで、パソコンやフロッピーディスクの中に、見えない情報が蓄積されていく。この中に探しているものがあるよと言われても、その情報量が実感できない。このイライラって、あれなんですね、閉架式の図書館に行った時の感覚。普通の図書館なら、ぶらぶら歩いて目に留まった本を抜き出して、本を撫でてさすって拾い読みをして、その本の持つ情報を感じようとする。司会の片隅になんとなく入っていたフレーズが、後で気が付くと重要な意味を持っていたりする。でも、閉架式の図書館ではそういうことができない。検索して選んだものしか見ることができない。そういう、無意識のうちに得ていた情報が、どんどん手の届かないところに行っているような気がするんです。もちろん、膨大な情報を検索し画面に呼び出すということで、それまで手作業でやっていたことに比べれば作業の能率は桁違いに優れているのでしょうが、今、世界全体が、閉架式の図書館になっているんじゃないでしょうか。いろいろな情報が手に入るようでいて、かえって手に触れることのできない情報、見せてもらえない情報がそれ以上に増えているのではないでしょうか。電子メイルでのやりとりも、手に触れることがないうちに消去されて、人知れず何もなかったかのように真っ白な画面が残されている。そのうちに、何かの拍子に全てがリセットされて、人類の歴史の蓄積そのものが消滅してしまうんじゃないかなんて妄想を抱くことがあります。』(「往復書簡」p244) |
関連本棚: |
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