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アンソロジーはやはりまとまりがなくなってしまうのかしら。村野四郎氏の『体操詩集』からの数編はさすがに一貫した世界があり、運動する身体を言葉でみせてくれる。この本を読み進めている途中で、代表編者である川崎洋さんの訃報に接しました。川崎さんの詩をほとんど読んだことがありませんでしたが、この詩集の中の「走る」という詩が心に残りました。
”世の中/なにがいったい正しいことなのか/断言するとなると ためらってしまう//ただ はっきりしているのは/力の限り走って/走って走って/走り抜いて/土の上に転って/閉じた瞼の裏に/空の青さが透けて映ったときの/あおの いい気持ち//馬力はもうひと雫も残っていないのに/心は存分に充電されてずしりと重い//あの気持ち//これだけは間違っていない と/うなずけるのだ” |